「サーバ」シェア(2019年通年)
IDC Japanは、2019年通年の国内サーバ市場動向の調査結果を発表した。2018年と比較し売上額、出荷台数ともに首位のベンダーは変わらなかったという。
IDC Japanの2019年通年の国内サーバ市場動向調査によると、2019年の国内サーバ市場全体の売上額は5156億円となった。IDC Japanによると、前年(2018年)と比較して売上額は1.7%増加したが、出荷台数は2.5%減少し、51万6千台となった。売上額の前年比プラス成長は3年連続という。
x86サーバは3年連続売上額がプラス成長
製品別にみると、x86アーキテクチャのプロセッサを採用しWindowsやLinuxなど、オープン系のOSを搭載した「x86サーバ」が売上額は前年比1.2%増の4191億円で3年連続のプラス成長で、出荷台数は前年比2.3%減の51万2100台のマイナス成長となった。IDC Japanによると、出荷台数はマイナス成長だがx86サーバの平均単価が前年比で上昇したため売上額のプラス成長に貢献したという。
x86サーバの中でも、ベンダーカタログなどに掲載されている、標準的なマザーボードや筐体をベースとした『Standard Server』は、売上額が前年比3.2%増の3612億円で、出荷台数は前年比0.3%減の43万6600台だった。もう一方の、発注側が仕様を指定して製造するODM製品などを指す『Custom Server』は、売上額が前年比9.7%減の579億円で、出荷台数は前年比12.7%減の7万5400台のマイナス成長となった。
IDC Japanによると、Standard Serverの出荷台数は、データセンター用途の大口案件は大きく減少したものの、店舗設置や組み込み用途での大口案件や「Microsoft Windows Server 2008」のサポート終了に伴うサーバ更新需要の高まりなどが影響し、前年比わずかのマイナス成長にとどまった。しかしCustom Serverの出荷台数は、「ODM Direct」を中心にクラウドサービスベンダーへの出荷が減少し、2桁のマイナス成長となった。
IDC Japanの下河邊 雅行氏(エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネジャー)は「Standard Serverの出荷台数がマイナス成長となったにもかかわらず、売上額がプラス成長になったのは、Standard Serverの平均単価が前年比で上昇したからだ。Custom Serverも平均単価は上昇したが、出荷台数のマイナス成長を補えず、売上額もマイナス成長となった」と分析している。
メインフレームは前年比2桁のプラス成長
メインフレームの売上額は、前年比29.9%増の699億円となった。2018年は前年比2桁のマイナス成長だったが、2019年は、金融を中心に公益、製造、官公庁で基幹系システム更新のタイミングを迎え、大型案件が重なり2桁のプラス成長を記録した。
その他のサーバは、前年比31.3%減の265億円となった。これは2018年は通信や金融、官公庁の更新案件がありプラス成長を記録したものの、2019年は前年に匹敵するほどの大型案件がなかったことが影響しているという。
富士通が売上額、出荷台数ともに首位を維持
企業別にみると、売上額では富士通が前年同様首位を維持した。次いで、NEC、日本ヒューレット・パッカード(HPE)、デル テクノロジーズ(Dell Technologies)、日立が続いた。出荷台数も同様に富士通が首位を維持し、NEC、HPE、Dell Technologies、日立の順となった。
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