LINEに続き、政府が通信事業者らに協力要請、データを活用した新型コロナウイルス感染クラスター対策が本格化
政府が感染症拡大阻止に向け、プラットフォーム事業者や通信事業者にデータ提供を呼び掛けている。「Code for Japan」らと協力した自治体向けのデータ整備も本格化しつつある。
経済産業省・内閣官房(情報通信技術(IT)総合戦略室・新型コロナウイルス感染症対策推進室)・総務省・厚生労働省が、プラットフォーム事業者および移動通信事業者に統計データ提供を要請する。要請するデータは「法令上の個人情報には該当しない統計情報等のデータに限る」としている。通信事業者が持つ位置情報などを「感染クラスター」の追跡と対策に役立てる狙いだ。
統計データは政府内の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の担当部署で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の目的に限り、利用する。取り組みが終了次第速やかに消去するとしている。今後、追加での情報提供を要請する可能性も含んでいるが、その場合も適法の範囲に限定する。
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2020年3月30日には厚生労働省がLINEと「新型コロナウイルス感染症のクラスター対策に資する情報提供に関する協定」を締結し、翌31日には、東京、神奈川、埼玉、千葉を登録居住地とする15歳以上のモニターを対象に「新型コロナの状況把握アンケート」を実施していた。集計結果は既に公開されている。この結果を受け、現在LINEは全国のLINEユーザー約8300万人を対象とした「第1回 新型コロナ対策のための全国調査」を実施している。
これとは別に、総務省は各自治体向けに公開データフォーマットを共通化すべくドキュメント「新型コロナウイルス感染症対策に関するオープンデータ項目定義書」を公開した。
「Code for Japan」と東京都が開発し、現在複数の都道府県で実装が進む「新型コロナウイルス感染症対策サイト」などの取り組みをベースに、地域情報化アドバイザーを務める下山 紗代子氏が仕様を整えたものだ。
感染症り患者が増加する中、対策のための基礎データ収集やデータ活用に向けた環境整備に、官民を挙げた協力体制の整備が進む。
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