コラボレーション機能を強化するDropboxに聞く テレワーク
クラウドストレージサービスを展開するDropbox Japan。コラボレーション機能を強化する同社にテレワーク成功の秘訣を聞いた。
クラウドストレージサービスとして知られる「Dropbox」。ファイルサーバの代替としてのイメージが強いが、直近ではオンラインコラボレーション機能を積極的に拡充する。2020年3月には、ここ数カ月で一気に注目を集めるWeb会議ツール「Zoom」との連携も実現した。Dropbox上でファイルを開いたままシームレスにWeb会議を開催しファイルを共有できる機能や、Zoom上でミーティングを開いたままファイルの共有できる機能が追加された。
日本国内でDropboxのサービスを提供するDropbox Japanの保坂大輔氏(ソリューション アーキテクト)によると、Zoomとの連携は、同社が恒常的に追加している外部サービスとの連携機能強化の一環だ。利用者数の多いツールベンダーを中心に連携を進めており、その相手は「Gmail」や「slack」といったメール、チャットツールの他、日本国内で提供される「LINE WORKS」のようなローカルなサービスまで多岐にわたる。
「ファイル置き場」以上の機能を持つDropbox
「Dropboxはクラウドストレージですが、全社コラボレーションを進めるためのツールでもあります」と保坂氏は語る。というのも、Dropboxには、Dropbox上のドキュメント機能「Dropbox Paper」(以下、Paper)という機能がある。
Paperはメンバーを指定した共同編集が可能で、編集内容はリアルタイムで反映されるため、Zoomで会議を開きながらそれぞれが入力できる。コメント機能も付いており、会議中のリアルタイム編集に限らず、1つのドキュメントを共同編集できる。
「Paperはタスク管理やデザインレビューなど、さまざまな用途で使われるワークスペースです。このようにクラウドストレージ以上のコラボレーション機能を提供するベンダーとして、『複雑化しないこと』をモットーに直感的な操作で外部サービスを使えるようにしています」(保坂氏)
保坂氏によると、昨今のテレワーク需要によって同社への問い合わせは増加傾向にあるという。企業のコラボレーションツールとして機能強化を進め、自社でも2020年2月18日から全社テレワークに取り組む同社に、テレワークでありがちな課題の解決策を聞いた。
Dropboxはテレワークの課題にどんな答えを用意しているか
今回、保坂氏には、キーマンズネット編集部が実施した「テレワーク実施状況に関するアンケート」(調査期間:2020年2月7〜21日)で寄せられた読者のテレワーク実施に関する課題の中から、代表的なトピックを抽出し、Dropboxとしての「課題への答え」を聞いてみた。
まず「現場作業や紙の処理が多くそもそもPC業務が少ないため、テレワークが難しい」という問題が挙げられる。これに対して保坂氏は、スマートフォンやタブレットなどモバイル上で連携可能なサービスの導入を勧める。「PC業務に慣れていない従業員でもタブレット端末からコメント機能や写真共有、Web会議に参加してもらうなどすれば、現場には必要最低限の人員を送り出せばよくなります」(保坂氏)。
また、紙の処理については、いち早くペーパーワークを減少するため、部分的にでもITツールを導入するよう推奨している。保坂氏は「紙の契約処理などもクラウド管理ができれば月単位、年単位での管理や呼び出しも簡単です。今回のタイミングで少しでも移行して使ってみることを勧めます。IT化することでログが残り、ガバナンスも向上します」と話す。
アンケートではこの他、「ITツールの導入・ライセンス費用」をテレワーク導入の障壁として挙げる声も多かった。保坂氏は、いきなり全社的に導入する必要はなく、部分的に導入することでコストが抑えられるという。ツールを導入することで生産性が向上し、結果的に経費の削減も見込めるとする。
「私たちも1カ月以上テレワークに取り組んでみて、以前と変わらず業務ができています。テレワーク成功のためには細かい情報共有が必須です。情報システム部門の皆さんはユーザーに使われやすいツールが何かを意識して社員の業務を支えてほしい」(保坂氏)
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