AIが作った日報は本当に“使える”の? 一挙手一投足を見逃さない「日報AI」とは
AI(人工知能)が人間の動作を分析し、その作業内容を判別して日報に記入する煩雑な日報作業をどれほど軽減できるのか。
製造業の現場では、生産管理のために従業員が実行した作業を日報に記す必要があるが、逐次記入が必要になるなど、従業員の大きな負担になっていた。こうした課題に対し、AI(人工知能)を活用することで、日報の記入を自動化できるシステムが登場したという。
フォワードネットワークとBFTは2021年4月12日、「日報AIシステム」の提供を開始すると発表した。同システムは、工場に設置したカメラの映像をAI(人工知能)が解析し、作業日報を自動的に作成する。日報は、作業者本人が毎日作成するため形骸化しやすく、作成には時間も掛かるが、同システムを利用することで、映像を基にした正確な日報を自動的に作成でき、作業者の手間も省ける。
日報AIシステムのAIエンジンをフォワードネットワークが、ユーザーインタフェース部をBFTが、それぞれ開発した。工場に設置したカメラで撮影した映像を、画像解析専用のPCで解析し、その内容をCSV形式のファイルとして保存する。
ファイルに、「いつからいつまでどの工程が実施されたか」を秒単位で記録する。その際、「どこからどこまで」の動作をどのような作業名として登録するかを、ユーザーが自由に決められる。ユーザーが決めた作業名を基に、AIが自動で作業内容を判別する。
神奈川県内の鋼材加工および販売メーカーは、従来、工場内の様子をカメラに記録し、担当者がカメラの映像を目視で確認することで日報を作成していた。日報AIシステム導入後は、日報作成の手間が軽減し、正確に作業内容を把握できるようになった。
今後フォワードネットワークは、この日報AIシステムをクラウドサービスとして提供する予定だ。
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