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世界で広がるワクチン詐欺、デジタル格差狙う動きも

世界から遅れ気味ではあるものの、日本においても新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まっている。他国で発生している「ワクチン詐欺」の例から、日本における注意点をまとめた。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が、世界中で進む。日本においても、世界平均からは遅れ気味であるものの医療従事者や高齢者を中心に摂取が始まっている。

 特に高齢者のワクチン接種については、電話やインターネット、窓口対応など、予約の方法が多岐にわたるため現場では混乱が発生している。混乱に乗じたワクチン詐欺は世界中に前例があり、日本においても同様の被害が予測される。

 台湾発の着信番号識別・迷惑電話対策アプリベンダーによれば、2020年に同社の識別した詐欺着信は65億件に上るという。COVID-19のワクチンに関する詐欺は今後も増えると予想され、同社は世界の事例の紹介を通して、日本にも注意を促している。

「電話」2.8億件を含む不審な着信は65億件

 Whoscallは、台湾発の着信番号識別・迷惑電話対策アプリベンダーだ。同社は2021年5月17日、同社の提供する着信番号識別・迷惑電話対策アプリ「Whoscall」が未登録番号からの電話とSMS(Short Message Service)の着信を2020年に延べ65億件以上識別したと発表した。この中には、2.8億件の詐欺電話と詐欺SMSが含まれる。

 日本においてもCOVID-19のワクチンに関して「予約金が必要だ」などと金銭を要求する詐欺電話が確認されている。Whoscallは2021年4月に、ワクチン接種に関する約4万4000件の詐欺電話やSMSをブロックしたという。同社によると、日本では同年4月以降、架空請求や点検詐欺などの電話も引き続き発生している。こうした詐欺電話は、新型コロナウイルス感染症に便乗したものだけでなく従来からある詐欺電話も含めて今後も増加が予想され、Whoscallでは注意を喚起している。


ワクチン詐欺、世界の事例(出典:Whoscallのプレスリリース)

日本でも発生秒読みか、世界の「ワクチン詐欺」概要

 Whoscallによると、世界では次のようなワクチン詐欺の手口が確認されている。

電話

 「ワクチンを予約するには頭金が必要」などと電話をかけてくるが、日本では政府が無料でワクチンを提供している。

SMS、メール

 フィッシングリンク付きのSMSも確認されている。こうしたSMSフィッシングではメッセージ内のリンクをクリックすると、スマートフォンがウイルスに感染することがあるほか、偽のWebサイトに転送され個人情報の登録を要求してくる。電子メールもSMSと同様な手口だ。政府や病院を装った詐欺師が、個人情報の登録を促すフィッシングリンク付きのメールを送りつけてくる。

LINEなどのコミュニケーションアプリ

 「LINE」などのコミュニケーションソフトウェアを使った手口もある。ワクチンを接種するのに必要な情報を登録するための偽装サイトを作成して、SNSを経由してメッセージを送信してくる。このサイトに入ると、個人情報を盗まれたり、予約代金を要求されたりすることがある。


ワクチン関連のよくある詐欺手口(出典:Whoscallのプレスリリース)

 また、米国では「順番が回ってきたワクチン代金の支払いを求められる」「ワクチンの早期接種を勧誘され、代金の支払いを求められる」「順番待ちのリストに名前を載せるために、代金の支払いを求められる」といった手口が発生している。オーストラリアでは偽のワクチンの予約販売や個別訪問しての現金請求、英国ではワクチン接種を勧める詐欺電話やテキストメッセージが発生している。

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