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奥様もRPAマスターに、RPA人材不足のドンキによる業務自動化作戦

UiPathを導入して、ドン・キホーテに関連する約170種類の業務を自動化したパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。導入当初は情シス主体の開発、運用体制が回らず、活用が思うように進まなかった。どのような対策を講じたのか。

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 RPA(Robotic Process Automation)導入の障壁として、RPAの開発や運用を担う人材がいないという課題がある。ロボットのシナリオを構築できるようになるには一定の学習が必要であり、その運用にも手間がかかる。情報システム部門がその役割を兼任で担う場合があるが、本業の傍らで従事するには荷が重いという声も聞かれる。

 ドンキ・ホーテなどのディスカウントストアを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスも同様の課題を抱えていた。RPAを約1カ月のPoC(Proof of Concept)を経てスピード導入したものの、開発や運用を担う人員が足りない。当時はRPAブームの黎明期で、専門知識を持つ人材を採用するのも難しかった。だが、現在は主婦からRPA開発者に転身した人などバラエティー豊かな人材を擁し、RPA開発や運用の体制を整えている。どのような施策を講じたのか。

1カ月で導入決定、情報システム部門が兼任したが……

 UiPathは2021年6月15日、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)がRPA(Robotic Process Automation)プラットフォーム「UiPath」を導入して、同社が展開するドン・キホーテに関連する約170種類の業務を自動化したと発表した。

 PPIHは、日本でRPAがブームとなりだした2017年4月にRPAの導入プロジェクトを始動させた。導入初期に3つの製品を比較検討し、最終的にUiPathを採用した。小規模ユーザー向けの「UiPath Community Edition」やオンライントレーニングサービス「UiPathアカデミー」が無料で提供されること、必要な技術情報がインターネットで容易に入手できることなどが決め手となったという。

 ツールを決めた後は、PoCに着手し、1カ月足らずで本格導入を決めた。それと並行して、情報システム部門の中にRPAの開発運用を担う「RPA課」を設置し、RPAを活用するための土壌を整えようとした。だが、情報システム部門が兼業していたためどうしても従来の業務を優先しがちになり、活用が思うように進まなかったという。

主婦からRPA開発者に転身、ロボット内製化の方法とは

 PPIHでは、RPA課の人員を専任化すべく方針を変えた。社内リクルート制度でRPA課への転属を希望する人員を募集し、社外からも人材を登用するため求人を出したという。当時はRPAブームの黎明期であったため、専門知識を持った人材を募ることは難しい。そこで、条件を「プログラミング経験不問」として求人を出した。その結果、もともと情報システム部に所属していた一人を除き、5人を社内外からRPA課のメンバーとして登用でき、計6人の専任体制が整った。

 専任チームの発足当初、メンバーの習熟度は「一部が趣味でRPAを触ったことがある」程度だった。主婦からRPA課の専任メンバーに転身した人材もおり、ほとんどのメンバーが業務としてRPAの開発や運用に取り組んだ経験を持たなかった。そこで、無料オンライン学習サービスなどを活用し、数週間から3カ月程度で全員がRPAの開発スキルを習得したという。

 同社はこうして開発、運用体制を構築し、2021年2月末までに現場から寄せられていた250の案件のうち約170種類の業務をUiPathによって自動化した。例えば、ドン・キホーテの各店舗に訪れた中国人旅行客がAlipayやWeChat Payなどによって決済した情報を日次でレジのデータと突き合わせる作業は多くの人手がかかっていたが、RPA導入によって大幅に省力化したという。

 単に業務を省力化するだけでなく、これまで人的リソースや時間の制限から実施できなかったことをRPA化によって成し遂げた例もある。例えば、ドン・キホーテの各店舗に向けた分析レポートの配信では、社内システムから売上関連データなどを抽出して各店舗の求めるフォーマットでレポートを生成するようにした。

 PPIHは、RPAの活用が生産性の向上と働き方改革に寄与したとしている。

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