Windows 365 Cloud PCとは? Windows 10/11との違い、Microsoft 365との共通点
Microsoftが発表した「Windows 365 Cloud PC」が話題だ。従来の「Windows 10」「Windows 11」との関係と違い、また「Microsoft 365」との共通点とは。
「Windows 365 Cloud PC」(以下、Cloud PC)とはWindowsのデスクトップ環境をクラウドで提供するものだ。Microsoftが2021年7月14日に「Microsoft Inspire 2021」において発表した。
テレワークをはじめとした新たな働き方が浸透する中で、より便利かつセキュアな環境が求められる。本稿ではCloud PCのメリットや「Windows 10」「Windows11」「Microsoft365」との違いについて説明する。
「Microsoft 365 Cloud PC」とは? Windows 10/11との関係、「Microsoft 365」との違い
Cloud PCは、Windows 10やWindows 11の後継ではない。Windows 10やWindows 11はOSそのものの名称で、Cloud PCは「OSをクラウドから提供するサービス」の名称だ。
Cloud PCは、OSやデバイスを選ばずにクラウド経由でデスクトップ環境を提供するものだ。PCやタブレットなどのデバイスからログインしてOSやアプリ、アカウント、個人設定といった環境をそのまま引き継ぎ、デバイスをまたいで作業を継続できる。
例えば、職場はWindows PCで、出張先では「iPad」で作業するといった場合、従来は異なるOSで動くアプリを、共通のアカウントでログインして利用していた。Cloud PCはデバイスにプリインストールされたOSとは無関係に提供されるため、「iPadにOSをインストールし直したような環境」が利用できる。
Cloud PCは「macOS」と「iOS」「Linux」「Android」に対応し、一般的なデバイスであれば作業環境を継続できる。この点が、VDI(仮想デスクトップ)ソリューション「Azure Virtual Desktop」とは異なる。
Cloud PCで提供されるOSは、Windows 10とWindows 11から選択できる。現在Windows 10を利用しているユーザーは2021年秋から2022年にかけてWindows11の無償アップグレードが提供されるが、Cloud PCが提供される条件は明らかになっていない。Cloud PCのサービス価格は2021年8月2日に発表される予定で、Windowsユーザーへのサービス提供の有無やディスカウントの有無についても続報が待たれる。
製品名 | Windows10 | Windows11 | Windows 365 Cloud PC |
---|---|---|---|
製品カテゴリ | オペレーティングシステム | オペレーティングシステム | クラウドサービス |
対応OS | - | - | macOS、iOS、Linux、Android |
提供されるデスクトップ環境 | Windows10環境 | Windows11環境 | Windows10またはWindows11環境 |
「W365」と「M365」の共通点、何が便利になるのか
「Microsoft提供」「月額固定費」「365」といった共通のキーワードを持つため、混同されがちなWindows 365 Cloud PCとMicrosoft365だが、両者はそれぞれで提供されるサービスが異なる。
Cloud PCはデバイスを問わず利用できるWindowsデスクトップ環境がクラウドで提供され、Microsoft365は、契約するライセンスによって利用できるアプリやサービスは異なるが、Officeアプリケーションや「Microsoft Exchange Online」などのクラウドサービスが提供される。
サービス名 | Windows 365 Cloud PC | Microsoft365 |
---|---|---|
サービス形態 | 月額固定費で利用できるクラウドサービス | 月額固定費で利用できるクラウドサービス |
提供されるサービス | Windowsデスクトップ環境 | Officeアプリケーション、Exchange Online、Microsoft Teams、Azure Active Directoryなど |
ライセンスの割り当て先 | Azure ADアカウント | Azure ADアカウント |
なお、いずれもライセンスは「Microoft Azure AD」のアカウントに割り当てられるため、現在Microsoft365をAzure ADのアカウントで利用する企業は、新規ユーザー登録などの手間をかけることなくCloud PCを導入できる。
さらに、Cloud PCを導入して利用するデスクトップ環境からは新たなひも付け作業をせずとも、Azure ADと連携されたアプリケーションを利用したり、アクセス権限が付与されたクラウドのデータにアクセスしたりできるため、IT管理者は「Microsoft Endpoint」を利用して、それらの権限を管理できる。
Cloud PCは全てのデータをデバイスでなくクラウドに保存する。デバイスの紛失や盗難といったセキュリティリスクを完全に回避しつつリモートワークの利便性を向上するソリューションとして期待が高まっている。
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