みんな忘れている「オリパラ期間中はテレワーク」作戦が実はひっそり進行中
「テレワーク・デイズ」は働き方改革やBCP、訪日観光客の増加による交通機関への影響を緩和するために実施されてきた。そして2021年夏、コロナ禍と東京大会の中で企業の対応はどうなっているか。
総務省と厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府が東京都や関係団体と連携して実施する「テレワーク・デイズ」は、働き方改革や「オリパラ」期間中の交通混雑緩和を目的としていた。2020年のコロナ禍で緊急避難的なテレワークが普及し、現在は「コロナ疲れ」や「テレワーク疲れ」によるオフィス回帰の動きも見られる。
ニューノーマル時代の働き方としてテレワークとオフィスワークを混ぜた「ハイブリッドワーク」が注目されるが、そのような中で2021年の夏も「テレワーク・デイズ2021」が実施されている。ひっそりと公開されている実態の数字を追った。
実は過去最高値のテレワーク実施率
東京都産業労働局が2021年6月2日に発表した調査によると、都内にある従業員30人以上の企業における2021年5月のテレワーク実施率は64.8%だった。2020年4月の外出自粛期間における62.7%、2021年1月〜3月にかけての緊急事態宣言下における64.8%と並ぶ過去最高の数値だ。
企業規模別に見ると、従業員300人以上の企業は82.8%がテレワークを「実施している」と回答した。従業員が少ないほど実施率は下がり、従業員30〜99人の企業では、テレワークの実施率は59.7%だった。回答数(460件)から算出すると、298の企業がテレワークを実施している。
そのような中で「テレワーク・デイズ2021」が実施されている。緊急事態宣言下における東京2020大会に合わせて、2021年7月19日〜9月5日を実施期間とし、3000団体の参加を目標としている。
テレワーク・デイズの取り組みは2017年から始まっており、同年は実施期間は1日で、922団体が参加した。2018年は5日間で1682団体、2019年は約1カ月半で2887団体が参加した。2020年はコロナ禍の影響により、期間を定めないテレワークの啓発活動を実施したという。
東京都の発表によれば、都内の企業数は約45万あり、そのうち「中小企業基本法」で定義される大企業は約4900社となる(2014年時点)。つまり2021年の目標は、都内の大企業の約6割が参加を表明すれば達成される見通しだ。
2021年は2019年同様、実施期間は約約1カ月半だ。本校掲載時点の2021年7月26日時点で参加申込を受け付けており「初参加の企業や団体は、1日だけの参加、少人数の参加でも可能」としている。
また、東京都オリンピック・パラリンピック準備局によれば、同局の提唱する交通需要の管理プロジェクト「東京TDM推進プロジェクト」には、2021年7月21日時点で5万超の企業が参加しているという。
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