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日本国内では現在、大手企業を中心にRPA導入ラッシュが続いている。なかでも、代表的な国産RPAソリューションの1つであるWinActor/WinDirector(NTTデータ提供)は、新規提供実績が月50社を超えるペースで伸びており、この1年で800社(最新の数値では1,000社以上)との契約に至ったという。同社の第二公共事業本部 第四公共事業部 第二統括部 RPAソリューション担当 課長、中川拓也氏のコラムによると、特に最近では、RPA全社運用ルールや体制の構築方法というような具体的な手法や、AIによるRPAの高度な自動化に関する内容が問い合わせの中心となってきているというのだ。そこで本稿では、中川氏のコラムを2回にわたり紐解きながら、RPAを軸とするAI活用について考えてみたい。
後編となる今回は、RPAツールと特化型AIツールの組み合せでひらける、3つの方向性について踏み込んでいきたい。
RPAツールと特化型AIツールの組み合せでできる3つのこと
Class3のRPAツールの手前あり、Class2とも少し異なるClass2.5のような中間段階について考えるには、まずClass2を分解し、RPAの発展を面でとらえるようにしてみると、Class2.5に向けたAIの活用が現実的な手段して見えてくるだろう。そこから中川氏は、RPAツールと特化型AIツールの組み合せに関して、大きく3つの方向性があるという考えを示している。
(1) RPAツールで扱うデータ等を拡大
これはAI-OCRやAIスピーカーなどの技術を利用して、紙や画像、音声などの情報を、RPAが扱えるような形式のデータに変換し、自動化できる業務の範囲を広げることであり、Class2に該当する。非構造化データを構造化する、というような言い方もされる。この点について中川氏は「RPAツールという自動化ロボットに、AI-OCRという優れた目を与えたり、AIスピーカーという優れた耳を与えたりするイメージ】と表現している。
(2) 審査等の判断業務との連動
中川氏自身、RPAでAIのような高度な判断までできないのかという質問がよく寄せられていると言い、この高度な判断についても、「高度な判断をする特化型AIと組み合わせて実現すると考えていただくのがよい】とコメントしている。
ここで中川氏が組合せイメージとして挙げた例は以下の3つだ。なお、この例では与信審査判断力を鍛えた特化型AI商品があるということを前提としている。
- RPAが与信審査AIに所得等の情報を渡し、この人にお金を貸しても大丈夫かと問う
- 与信審査AIは、受け取った情報から貸与可否を審査判断する
- RPAは与信審査AIから戻ってきた審査判断に応じた処理を行う
※(貸与可であれば、貸し出す業務を自動実行する)
この先、何かしらの目的に特化したAI商品が増えていくと予想されるが、実用段階に達して商品化された特化型AIをRPAと組み合わせることで、RPAに難しい業務を自動化させられるようになるというのが中川氏の持論だ。「RPAという自動化ロボットに、審査AI等の相談相手を付けてあげる」イメージなのだという。
(3) 自動化シナリオ作成の高度化
特定の業務の分析に特化したAIを活用して業務分析を行い、業務の無駄を見つけたり、改善策としてRPAによる自動化をレコメンドさせたりといったAIの成長はイメージしやすい。
またその延長として、RPAでの自動化に適した業務改善案を作ったり、その業務を自動処理するためのシナリオまで作ったり、ということも十分考えられると中川氏は述べている。さらに、「NTTデータでも、WinActorのシナリオ案を自動作成してレコメンド(推薦)させるなど、自動化手法をAIにより高度化する研究開発を進めている】としたうえで、想像がしやすいよう「RPAツールという自動化ロボットの脳にあたる部分を強化するイメージ」と説明している。
RPAとAIが混在した状態のままでは、AIで何でもできるとの誤解から導入してみたものの上手くいかなかったり、逆に現実にはまだまだ実用性が無いと誤解してせっかくのチャンスを逃してしまったり、というもったいない結果になりがちだ。しかしながら、RPAと、目的別に実用化された特化型AIを上手く組み合わせていくことで、現時点でも高度に自動化できることは意外に多いのではないかというのがコラムの全体趣旨の1つである。
また、賢さは十分であっても、時に、人間からすると一目瞭然な間違いをすることのあるAIと、賢くはないけど、ルール通りに同じ結果を出すRPAを組み合わせることについて中川氏は考察しているが、この“難問”については、【ミスを減らすという観点でも有効】としている。
このような背景や考えから、中川氏をはじめNTTデータでは、RPAを軸とする地に足の着いたAI活用を提案している。このような地に足の着いたAI活用を続けていくことこそが、デジタルデータおよびAIに関する知見の蓄積に繋がり、「あらゆるものに答えられる賢いAI(=汎用型AI)」の呼び水になると中川氏は結んでいる。
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