副業でどれくらい稼いでる? 副業とお金が分かるランキング
パーソル総合研究所は、副業に関する調査結果(個人編)を発表した。副業者の割合が高い職種や年収、副業にかける時間や収入の他、地方における副業への関心、初めて副業を始めた時期、副業の人気ランキングなどが明らかになった。ランキングから見えてくる副業の今とは。
パーソル総合研究所は2021年8月13日、副業に関する調査結果(個人編)を発表した。副業に関する個人の実施把握が目的で、今回の調査は2018年に続いて2回目だ。パーソル総合研究所は、副業に関する調査結果(個人編)を発表した。副業者の割合が高い職種や年収、副業にかける時間や収入の他、地方における副業への関心、初めて副業を始めた時期、副業の人気ランキングなどが明らかになった。ランキングから見えてくる副業の今とは。
副業者の割合が高い職種、年収は?
今回の調査では、副業を行っている正社員の割合は9.3%で、2018年調査から1.6ポイント減少した。この3年間で、企業の副業に対する容認姿勢は進んでいるものの、実際に副業を行う人の割合はほぼ横ばいだった(図1)。
正社員の副業実施状況を年代別に見ると、男女ともに年齢が低いほど副業をしている人の割合が高い。20歳代は男性が13.9%、女性が10.9%、30歳代は男性が12.1%、女性が9.0%なのに対して、40歳代は男性が8.4%、女性が7.2%、50歳代は男性が5.8%、女性が6.9%だった。
年収別では、どのような結果が出ているのだろうか。
年収1500万円以上で副業を行っている割合が急激に高まり、2000万円以上では33.5%に上った。職位別で見ると、副業を行っている割合は部長相当以上が最も高く15.1%だった(図2)。 パーソル総合研究所では、高いスキルを持っている人材は、スキルを生かして副業を行っていると推察している。なお、コロナ禍で本業の収入が減った人が副業をしている割合は12.6%で、本業の収入が「変わらない」(7.8%)とした人の割合よりも高かった。しかし、コロナ禍で本業の年収が増えた人が副業を行っている割合は15%で、これは年収が減った人の割合よりも高い。
副業者の割合が高い職種を見ると、トップはコンサルタントで、現在の副業者割合は29.8%。次いで、Webクリエイティブが20.1%、人事・教育が19.9%、経営・経営企画が18.9%、幼稚園教諭・保育士が18.2%だった(図3)。
正社員が行っている副業のランキングでは、トップがYouTubeやブログなどのWebサイト運営で12.6%。次いで、配送・倉庫管理・物流が11.2%、ライター・Webライターが8.6%、インターネット通販・ネットショップ販売が7.7%、店舗内・事務所内の販売・サービスが7.3%だった(図4)。
平日も副業はあり? 費やす時間や月収、時給
正社員が副業にかけている日数は1カ月当たり平均9日、労働時間は1カ月当たり平均29.5時間。平日など本業の勤務日に活動している時間は平均で2.56時間、休日は4.48時間と、平日も副業に従事していることが分かる(図5)。
副業の月収の中央値は4.1万円、時給の中央値は1883円だった(図6)。
なお、初めて副業に従事した時期では、厚生労働省のモデル就業規則改定以降と回答した割合が52.3%。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大以降は25%だった。
地方での副業への関心は?
都市部に居住する副業者や副業をしたいと思っている回答者1703人のうち、地方での副業に「とても感心がある」(16.0%)、「関心がある」(16.0%)、「やや関心がある」(23.9%)とした割合はあわせて55.8%だった。
副業による本業への影響は?
副業によって、本業にプラスあるいはマイナスの影響はあるのだろうか。プラスの効果について、パーソル総合研究所では「スキル・知識の向上」「相違工夫」「成果意識、自律性向上」「変化受容意識の向上」に関する項目を設け、回答を得ている。「視野が拡大した」(44.6%)、「新しいことを取り入れることに抵抗がなくなった」(37.8%)、「経験がないことにチャレンジする意欲が高まった」(37.1%)などが上位のに挙がった(図7)。
一方、副業によって本業に生じた問題、課題については「過重労働となり、体調を崩した」(16.1%)、「過重労働となり、本業に支障をきたした」(14.1%)が上位に挙がり、 副業にとって過重労働が大きな問題となっているとパーソル総合研究所は見ている(図8)。
副業をする理由は?
一方、現在副業を行っていない正社員31598人のうち、副業を行いたいと思っている人の割合は40.2%で、2018年の41.0%からほぼ変わらなかった。「どちらともいえない」は26.2%、「副業意向なし」は33.6%だった。
年収別に見ると、本業の年収が低いほど副業を行いたいと思っている人の割合が高い傾向にあった。新型コロナウイルス感染症の影響で本業の収入が減った正社員の過半数(52%)が副業を行いたいと考えており、年収が変わらない人や増えた人に比べて割合が高かった(図9)。
この点は、現在副業を行っている人(1703人)でも同様の傾向が見られた。正社員が副業を行う理由ランキングのトップは、「副収入(趣味に充てる資金)を得たいから」の70.4%。次いで、「現在の仕事の収入に将来的な不安があるから」が61.2%、「生活するには本業の収入だけでは不十分だから」が59.8%だった。
パーソル総合研究所の研究員を務める青山 茜氏は、「今回の調査データから、需要(副業者の受け入れ先)と供給(副業をしたい個人)にギャップがあることが見て取れた。副業を望むのは一般的な会社員に多いが、企業側のニーズが高いのは高スキル人材だ。結果として高スキル人材に副業実施者が多いという実態が垣間見えた。個人側では、中長期的なキャリア形成につながる副業を行うためには、さまざまな副業に目を向け、必要があれば新たなスキルを獲得していくなどの積極的な姿勢を持つことが求められる」と述べている。
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