テレワークシフトが一段落 企業ネットワークの新たなフェーズは?
2020年はコロナ禍の対宅対応に追われたネットワーク部門。2021年は落ち着きを取り戻しつつあるように思えるが、調査によって新たな課題が浮き彫りになった。ネクストノーマル社会に合った最新ソリューション導入の動向を見ていく。
IDC Japanが発表した「2021年 企業ネットワーク機器利用動向調査」の調査結果により、インターネットブレークアウトの導入および検討状況や、ネットワーク運用管理の課題などが明らかになった。
在宅セキュリティや管理コストに課題感
テレワークシフトなど急激な変化への対応に追われた2020年と比べると、企業のネットワーク管理部門は落ち着きを取り戻しつつある。本調査で、在宅勤務とセキュリティおよびクラウドシフトに強い課題意識があることが分かった(下図参照)。加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大以降、ネットワーク管理の省人化意識が高まり、フリーアドレスや無線LAN化が促進されたことも分かる。
インターネットブレークアウトやクラウド管理ツールに期待
在宅勤務のセキュリティ向上や、クラウドシフトを実現するための新しいネットワークの仕組み、クラウドソリューションの検討状況も調査した。
新しいネットワークの仕組みとして、企業の拠点やリモートアクセス端末から直接インターネットに接続するインターネットブレークアウトを導入または検討しているとした回答者は約7割に上った。特に、拠点数が多い大企業では導入意向が高いことが分かった。インターネットブレークアウトの導入形態としては、セキュリティアプライアンスを新たに導入する形態が優勢のようだ。
市場に浸透しつつあるクラウド管理型ネットワークソリューションに関する調査項目では、5割強の回答者がクラウド管理型ネットワークの導入を検討していることが明らかになった。クラウド管理型ネットワークがもたらす利便性の中でも、特に遠隔地のネットワーク機器の管理に多くの企業がメリットを感じており、訴求ポイントは固まりつつあると考えられる。
その他、ネットワーク運用管理にAI(人工知能)や機械学習を取り入れる動きが進んでおり、本調査では約9割の回答者が「有効である」と認識していることが分かった。IDC Japan コミュニケーションズ グループマネジャーの草野賢一は、「AIや機械学習の活用によって、障害発生時の自律的回復や予兆検知や、トラブルシューティングのサポートや、障害発生時に迅速かつ低負荷で回復できることが期待されている。ネットワーク運用管理の省人化に寄与する有効な技術の一つとして、より多くの企業がその利便性を享受できるように、企業向けネットワーク機器ベンダーは幅広いAIや機械学習を活用したソリューション開発に注力すべきである」と述べる。
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