「チームでやってる感」は幻想? 日本のテレワークのトホホな実情
テレワークに関する最新調査で、日本ではチームコラボレーションに大きな課題が生じていることが明らかになった。
アトラシアンは2021年12月2日、テレワークについての調査レポートを発表した。調査によると、日本の企業では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としてテレワークが浸透してきたものの、チームコラボレーションに課題を抱えていることが分かった。
アトラシアンのテレワークに関する調査は、2020年に続いて今回が2回目だ。日本をはじめ、オーストラリア、インド、フランス、ドイツ、米国の6カ国で企業に勤めている人を対象に実施したものだ。今回の調査では、世界中でオフィス出社とテレワークを併用するハイブリッドワークが浸透していることが分かった。
2020年の調査では、COVID-19の感染拡大以前に「テレワークをほとんど経験したことがない」と回答した人の割合は、世界平均で36%、日本では51%だった。今回の調査では、「複数の場所で仕事ができる柔軟性を将来のビジネス慣行の一部にすべき」と回答した人の割合が世界の74%を占めた。日本でも、「ハイブリッドワークを含めたテレワークが好ましい」と回答した人の割合は、2020年の77%から2021年は84%に上昇。ハイブリッドワークを好んでいる人の割合は54%と、過半数を占めた。
こうした傾向は、企業が本格的にハイブリッドワークを導入し始めた表れだ。「ハイブリッドワークによって働く時間の一部または全部を自由に設定できる」と回答した従業員の割合は2020年の36%から2021年は44%に増加したことから、企業も従業員も新しい働き方を取り入れようとしていることが分かる。
「チーム一丸となっている」実感は世界と比較して約半分?
日本も世界と同様にテレワークが浸透してきてはいるが、今回の調査では他国と比べて従業員がチームコラボレーションに課題を感じていることが分かった。テレワークが浸透した状況でチームコラボレーションに対するポジティブな評価は世界と比較して約半分だ。
「チーム内で強い一体感や結束力を感じている」と回答した割合は、世界の58%に対して日本は27%。「チームメンバーが一丸となって仕事を遂行していると思う」と回答した割合は、世界では65%に対して、日本では37%だった。
テレワークによって、日本では管理職と従業員の間に摩擦が生じていることも、今回の調査で明らかになった。自身が所属する企業のマネジメントを信頼していると回答した人の割合は、世界の70%に対して日本は57%。日本では、この1年間で企業努力によってテレワークの導入が進んだにもかかわらず、その信頼度は2020年の63%から低下した。
さらにフルタイムのテレワークを希望する割合は、一般従業員の33%に対して管理職は22%。この値から、意識の差が浮き彫りになった。一方、「ハイブリッドワークはビジネスだけでなく従業員にもメリットがある」と考えている人の割合は、オーストラリアでは2020年の17%から2021年は44%に急上昇しているのに対して、日本では同29%から11%に半減した。日本では上層部が従来のオフィスワークの慣習から抜け出せず、テレワークでの組織づくりやスタッフやチームの管理に苦戦しているとアトラシアンは分析する。
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