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コミュニケーションツールの利用状況(2021年)/前編

ビジネスチャットツールは、ビジネスの非対面化に伴うコミュニケーションの課題を支援すると期待されて導入が急進した。一方、先行して導入していた企業では、新たな課題が顕在化している。

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 キーマンズネットは2021年12月7日〜12月17日にわたり「コミュニケーションツールの利用状況」に関する調査を実施した。

 従業員のコミュニケーションに関する課題やその背景と、それらに対してツールがどのように活用されているかを調査したところ、チャットツールの利用がコロナ禍を追い風に大幅に伸びる一方で新たな問題が顕在化していた。ツールを活用しない「ボイコット従業員」や故意にうその情報をインプットする「荒らし屋」などが問題になっている状況などが見えた。

「次の課題」が見え始めた大企業、課題の原因が分からない経営者

 まず従業員間でのコミュニケーション課題についてフリーコメントで現状を聞いたところ、コロナ禍に起因する「物理的なコミュニケーション機会の減少」に関するコメントが目立った。

  • 対面なら分かっていた微妙な気持ちの変化などがつかみにくくなった
  • 雑談やちょっとした確認が難しくなっている
  • メンバーが個々に抱える課題や負荷、個人間のトラブルなどが可視化できなくなった
  • 新人の指導は出社して対面で実施しなければならない

 部門をまたいだ連携や機微な状況の確認、人材の育成などが困難になっている点が課題として目立ち、チャットツールはこれらを支援する目的で活用される。しかし、コミュニケーション課題の背景について聞いたところ、最も多かったのはツールに起因するものではなかった(図1)。


(図1)コミュニケーション課題の背景(全体)

 回答の割合が最も高かったのは「チームの文化や組織の構造」(42.9%)に課題があるとするもので、次いで多かったのが「チームメンバーのスキルやモラル」(31.7%)と「ツールやシステムの仕様(24.4%)」だった。ツールそのものに課題を感じている割合は、全体では比較的少ないことが分かる。

 また、「経営者の価値観(企業全体の空気)」(16.2%)や「業界全体の文化」(14.0%)への回答率も比較的少数であったことから、現場の努力に依存したためにチームによってコミュニケーションの課題そのものがサイロ化している様子が見える。それを裏付けるように、回答者を役職別に見ると「分からない」と回答した割合が最も高いのは「経営者・役員相当」だった。

 課題の背景を具体的に聞くと「チームの文化や組織の構造に関する課題」には、以下のようなものがあった。

  • セクショナリズムが強く縦のつながりが薄いため、個人が情報を抱え込んでしまう
  • 組織が縦割りの構造で、部門間の連携がしにくい

 これらの課題が解決しないと、その他の課題をエスカレーションしにくくなってしまう。次に多かった「メンバーのスキルやモラルに関する課題」には、以下のような声が寄せられた。

  • 高齢の従業員がチャットを見ない
  • ツールに参加しない従業員がいる
  • マネジャーが好きな部下の話しか聞かなくなってしまい、うその情報を基に間違った判断をしている

 コミュニケーションの非対面化に伴って、個人の課題も構造的な課題も可視化が難しくなっていると言える。

 一方、従業員規模別で見ると、大企業において「ツールやシステムの仕様」に課題を感じている回答の割合が上がる。具体的には、従業員1001人以上の大企業において「ツールやシステムの仕様」を課題と感じている割合は34.3%あった。従業員数1000人以下の企業における同回答の割合は16.9%であったことから、特に大企業において、ツールの仕様が「課題」として捉えられていることが分かる。


(図2)コミュニケーション課題の背景(従業員数1001人以上)

 ツールやシステムの仕様に関する課題には、以下のようなコメントが寄せられた。

  • Web会議ツールが重く、VPNと併用するとPCの不具合が多発する
  • チャットツールがいくつもあって情報が散在しがちになり、収拾がつかない

ビジネスチャットツールの利用が急進、前例も課題も大企業が先行

 電話やメール以上に気軽にコミュニケーションを取れるツールとして対象を「ビジネスチャット」に限定し、その利用状況を複数回答で聞いたところ、82.5%の企業が何らかのビジネスチャットツールを使っていることが分かった(図2)。2020年8月に実施した前回調査の結果(54.3%)から28.2ポイント増加し、コロナ禍を背景に利用が急増していることが分かる。


(図3)使っているビジネスチャットツール(全体)

 利用しているサービスは「Microsoft Teams」(56.2%)が最も高く、「Slack」(12.4%)、「Google Chat」(7.6%)、「LINE WORKS」(7.3%)、「Chatwork」(4.1%)などが続いた。1社が複数のツールを併用している例も目立ち、従業員規模が小さいほど1社あたりのツール数が増える傾向があった。

 従業員数1001人以上の大企業に限定すると「使っていない」と回答した割合は7.3%となり、9割超が何らかのビジネスチャットツールを使っていることが分かった。

 以上から、ビジネスチャットツールに代表されるコミュニケーションツールの導入は企業の規模が大きいほど進んでいること、先行する大企業が「ツールやシステムの仕様」を背景としたコミュニケーションの課題を感じていることが分かった。

 後編では、新しいコミュニケーションツールによって現場のビジネスがどのように変化したかや導入した企業の課題、導入していない企業の実態などを紹介する。

 なお今回の調査では、全回答者数315人のうち情報システム部門が28.3%、営業・販売・営業企画部門が15.2%、製造・生産部門が13.3%、総務・人事部門が同率で7.9%、経営企画部門が5.7%などと続く内訳であった。グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるため、あらかじめご了承いただきたい。

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