最新の数値はどこ? 約半数が脱Excelできていない実態
各種管理業務で脱Excelの動きが拡大する中、特定業務の過半数の管理職が課題を感じながらExcelやスプレッドシートを利用している実態が明らかとなった。
昨今、バックオフィス業務のペーパーレス化や電子化といったトレンドと同時に業務内容を問わず“脱Excel”を目指す動きが出ている。脱Excelとは、「Microsoft Excel」(以下、Excel)を利用してきた業務を他のツールに移行し業務の効率化を図ることを指す。
Excelは、表計算や見積書、資料、日報などの作成や進捗管理といった業務に利用されてきた。だが、複数人での共同編集といった作業に向かず、入力方法や数値にバラつきがあったりシートの管理に手間がかかったりといったデメリットも多い。そのため業務内容を問わず脱Excelの動きが広がりつつあるのが現状だ。
「複数人で利用しづらい」「最新版がどれか分からない」
そんな中、法人向けソフトウェアを提供するハンモックが発表した調査結果によると、特定業務において管理職の過半数が課題を感じつつもExcelやスプレッドシートを引き続き利用している実態が明らかとなった。
ハンモックは2022年2月15日、営業管理に関する実態調査の結果を発表した。調査によると、営業管理職の47.8%が営業管理にExcelを利用しており、「複数人で利用しづらい」や「最新版がどこにあるか分からない」といった課題を抱えていることが分かった。
営業管理方法については、「Excel」と回答した人の割合が47.8%で最も高く、次いで「その他管理ソフト・ツール」(24.2%)、「SFA(Sales Force Automation:営業支援)ツール」(14.2%)の順だった。「スプレッドシート」との回答は3.9%で、Excelを含めるとスプレッドシートの利用者は過半数を占める。また、「紙・書類・手帳」は3.5%だった。
Excelやスプレッドシートの利用者に、それらで管理している内容を複数回答で聞くと、「目標管理」(71.9%)、「営業報告の管理」(55.0%)、「案件(商談)進捗管理」(50.0%)との回答がトップ3。ただ、こうしたExcelやスプレッドシートを使った営業管理には次のような課題があることが分かった。
営業管理にExcelやスプレッドシートを利用している人に、その課題を複数回答で聞くと、「複数人で利用しづらい」と回答した人の割合が36.2%で最も高かった。次いで、「最新版がどこにあるのか分からない」が26.2%、「データの抽出・分析がしにくい」が25.0%、「入力方法が統一されていない」が23.8%、「ほかのツールと連携できない」が21.9%だった。他には、「スマートフォンで営業活動を把握しづらい」(17.5%)や「営業予測を立てづらい」(14.4%)といった意見が挙がった。
このように、Excelやスプレッドシートの利用者は課題を抱えているにもかかわらず、SFAツールの導入を検討している人の割合は低い。営業管理にまだSFAツールを利用していない人のうち、営業管理のためにSFAツールの導入を「検討している」と回答した人の割合は11.3だ。「やや検討している」は16.5%で、SFAの導入を検討している割合は3割にも満たない。これに対して「検討していない」は24.4%。そもそも「SFAを知らない」人も13.2%を占めた。
調査結果を受けて同社は、「膨大な量の情報を蓄積すること」や「ルールに従って整列していないデータを扱うこと」はExcelやスプレッドシートの不得意分野だと指摘しており、SFAツールを活用して情報を一元管理することで、「複数人で利用しづらい」「最新版がどこにあるか分からない」「長期蓄積しづらい」といった課題を解決できると説明する。
なお、今回の調査は、従業員数が100人以上の企業の営業管理職を対象に実施し、310人から有効回答を得た。
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