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Z世代人材を引き付ける「DEI」って何のこと?

Talloの調査では、1990年後半から2000年代に生まれた“Z世代”の99%が「職場の“DEI”が重要」だと回答している。本稿ではDEIの意味や、企業が若手の人材が不足する時代に人材獲得競争で勝利するために、やるべきことを解説する。

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HR Dive

 年々競争が激化する人材確保領域において新たなトピック「DEI」が注目されている。

 「人材」「リスク」「資産」分野のマネジメントコンサルティング事業などを担うWillis Towers Watson(WTW)は、今後3年間の人材領域において、「採用」「スキルアップ」「DEI」が最優先事項になると報告した。

 大学生などの若年層も対象としたタレントソーシング事業を展開するTalloの調査でも、99%のZ世代(1990年後半から2000年代に生まれた人)が「職場の"DEI"が重要だ」と回答した。

 若い世代が重視する「DEI」とは一体何なのか。言葉の意味をひもとくと、少子化により若手の人材が不足するこれからの時代に、人材獲得競争に勝利するため企業がやるべきことが明らかとなった。

Z世代人材を引き付ける、「DEI」って何のこと?

 DEIへの取り組みは、多くのグローバル企業にとって重要な柱になっている。

 DEIとは、「DEI(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包括性)」を指し、企業活動でDEIを重視することは、異なる経験や専門性を持つ人材の連携を促進し、イノベーションを生み出すことにつながる。

 DEIコンサルタントのマリア・モルキアン氏は、「経営幹部は、DEI関連の難しい会話に心理的負担を感じる必要がある」と指摘する。つまり、リーダーはDEIをビジネスレベルだけでなく、感情レベルでも組織にとって重要だと認識することが二大責務だ(注1)。ただ、企業の教育担当者(人材育成チームや人事部で「偶然教育担当となった人」も含む)は、人種や性的指向、能力、年齢といった重たい話をスムーズに進める能力を必ずしも備えていない。

 雇用主がZ世代を引き付けるためには包括性の高い企業文化の醸成を避けては通れない。2020年のMonsterの調査では、Z世代の回答者のうち83%が、雇用先を選択する際には、「多様性と包括性に対する企業の取り組みが重要」と述べている(注2)。

 同様に、2021年のTalloの調査では、Z世代の99%が「職場のDEIが重要」だと述べている(注3)。さらに、回答者のうち87%が「非常に重要」だと回答している。それにもかかわらず「アメリカの職場が多様で、公平で、包括的だ」と答えたZ世代は38%にとどまっている。

 人材確保のためのもう一つの価値ある投資は、多様性、公平性、包括性を鍛える「DEIトレーニング」だという。「多様性のビジネスケース」についてはこれまで多くのことが語られてきた。

 WTW North AmericaのTalent and Rewardsのマネージングディレクター、エイドリアン・アルトマン氏は、「現在、労働者の雇用と定着ほどの大きな課題はない。ただ、残念ながらこの状況が改善する見通しがない。特に、重要な技能を要する職でその傾向は顕著だ」と述べている。

 WTWのWork and Rewardsのマネージングディレクターであるキャサリン・ハートマン氏は、プレスリリースで次のように述べている。

 「『大量退職』『再編成』『優先順位付け』のいずれにおいても、企業は人材獲得競争に勝つために具体的な行動を取る必要がある。例えば、『新しい採用手段の開拓や業務設計の最適化』『給与戦略の再設定』『従業員へのより良いキャリアの用意』などが挙げられる」(ハートマン氏)

 人事の専門家は、「従業員のスキルアップ」と「人材としての優先順位付け」は、大量退職時代を乗り切る重要な要素だと言う(注4、5)。特に技術系の職種を中心に、人材は「学習の機会」と「スキルセットを刷新するチャンス」を探し求めているためだ(注6)。

 企業のリーダーや人事チームは、未来の働き方を考える上で、大きな課題を抱えていると言える。

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