“プログラミング未経験”の専務がノーコードで独自アプリを3日で作成
アナログ業務が多く残る企業で、プログラミング未経験の専務がノーコード開発ツールを活用しわずか3日で健康管理アプリを作り上げた。その取り組みは今、従業員にも広がっている。
オフィスビルや商業施設の設備管理や清掃管理、保安業務に関する事業を展開する裕生は、創業70年のビルメンテナンス企業だ。業界では老舗の同社はアナログ業務が多く、業務全体でデジタル化が遅れていた。
社会全体にデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流が押し寄せることへ危機感を抱き、「まずは身近な業務からデジタル化して、成功体験を積み上げ、デジタル活用意識を高めたい」と考えた同社は“プログラミング未経験”の専務取締役自らがアプリの開発に着手した。
非エンジニア専務が健康管理・安否確認アプリを3日で作成
デジタル化の遅れていた裕生で、いきなり大掛かりかつ難解なアプリの導入は難しく、低コストかつ短期間で実現可能で、現場のニーズに合致する必要があった。そこで同社が業務デジタル化の第一歩として目をつけたのは「ノーコード開発」だ。
2021年11月、裕生はアステリアの開発するノーコードのモバイルアプリ作成ツール「Platio」(プラティオ)の導入を決定した。導入については2022年5月30日にアステリアが発表した。
Platioを用いた最初のプロジェクトは、「体調管理アプリ」の作成だ。プログラミング未経験だった専務は、わずか3日でアプリを完成させた。コロナ禍において作業員の健康状態の把握が必須となり、日々の報告を義務付けている。従来は、メールや電話で健康状態が報告され、それを集計して上長に報告していた。
アプリでは、ほぼ全ての報告を選択式にし、誰でもスマートフォンから10秒ほどで報告が完了できるように設計した。このアプリは体温などの健康状態に加えてメンタルヘルスのチェック機能も兼ね備え、従来の電話やメールでの報告よりも情報量が充実し、心身の健康維持と管理を可能にした。また、管理者は遠隔でも効率的に全社員の状況が把握できるため、メンタル面での不調の早期発見にもつながったという。
ノーコードで手軽に業務用アプリを内製できる環境となった裕生では、BCP対策用途として震度5以上の震災時に安否を報告し、「安全・無事」以外の報告時には関係者にプッシュ通知が送信される「安否報告アプリ」も作成した。さらに現場社員の発案で約1時間で「業務改善提案アプリ」も作成、運用を開始した。今後も現場のニーズに応じた独自の業務用アプリを継続的に作成するとしている。
裕生の専務取締役、根本 将氏はノーコード開発ツールの導入について「Platioに期待したのはイグニッション(点火)ツールの役割です。まずは私が主導してアプリを開発し、従業員のデジタル活用意識を高めようと考えて取り組みを開始しましたが、すぐに従業員の発案による『業務改善提案アプリ』が生まれました。管理を受託しているビルや施設トラブルにいち早く気付いた際や、改善提案などを報告し、関係者で素早く共有・対処できるアプリです。アプリはわずか1時間で開発でき、その日から運用しています」と評価する。
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