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波風立てずにオフィス回帰を決行する企業の戦略

テレワークのリスクが取り沙汰されるとともに、オフィス復帰を求める経営者も現れた。だが在宅勤務とオフィス勤務の組み合わせは“地獄だ”と表現されることもある。そこで、専門家が無理なくオフィスに戻る方法を示した。

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HR Dive

 ハイブリッドワークはオフィスワークの利点とテレワークの柔軟性を併せ持つ働き方と思われていたが、少なくとも1人のCEOからは「地獄」と呼ばれ(注1)、テレワークの議論では、賛否双方のリーダーから非難を浴びた(注2)。

 では「出社してコラボレーションする」ことのどこが問題なのか。元Intelの採用幹部であるSmartRecruitersのアリン・ベイリー氏(採用担当エグゼクティブディレクター)は、出社の強制が信頼の欠如に起因するものだという。

 「本来、人々は善意でこの問題に取り組んでいるが、変化が組織に定着したとしても、何十年も効率性を維持していた方法を辞めることは難しい。管理職は『従業員が誰と、いつ、どこで』コラボレーションするかという仕組みを作らなければ、従業員がコラボレーションしなくなることを恐れている」(ベイリー氏)

波風立てずにオフィス回帰を決行する方法

 ベイリー氏は出社でのコラボレーションを推進するために、企業は次の2つのアプローチを取るべきだという。

 1つ目は、企業が特定のチームに対して、「コラボレーションタイム」として出社する時間を義務付けるアプローチだ。だがこの方法は個人の業務スタイルに合わない場合がある。従業員は割り当てられた時間をコラボレーションのために使わない場合があると、ベイリー氏は指摘する。

 2つ目は、全ての従業員が毎週一定の日数をオフィスで過ごさなければならないという大まかな規定を作り、具体的な日時は指定せず、従業員がそれを理解する責任を負わせるというアプローチだ。しかし、従業員がチームメンバーや共同作業をする相手とスケジュールを調整しない場合、オフィスに行くことは「いずれにしても時間の無駄かもしれない」とベイリー氏は言う。

 多くの企業ではこのような方針は従業員の反発を生んでいる。従業員は2年以上こうした仕組みに頼らずに、多くの場合は高い生産性を生み出しながら働いてきたためだ。新しい方針は過度に父権的で、企業が従業員を信頼していないという印象を与えやすくなるとベイリー氏は述べている。

 人事担当者は、会社のプロセスを少し変えただけでも現場に影響が出ることをよく理解している。

 「どんな小さな変化でも大きなストレスになる。企業は、ビジネスのやり方を変えるような大規模な混乱に直面すると、小さな変化を生むような選択をしないように手を尽くす」(ベイリー氏)

 「戦略なき変革は恐ろしい」ということだ。リスクを第一に考えずに仕事の変化にアプローチする方法があると同氏は言う。

 ベイリー氏によれば、最初に「自分たちが解決しようとしている問題は何か」を問うべきだとし、「人事部門は企業の警察的存在から脱却し、従業員の成功のためにツールを活用する部署に生まれ変わる必要がある」と言う。

 次のステップは、「その分野で他の企業と競争するために何が必要か」を問うことだ。ベイリー氏は「最初にリスクから入れば、必ず『NO』という答えが最初に来る」として、これらの問いを考えた後で、リスクに目を向けるべきだと話した。

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