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2023年の技術トレンドを大予測 押さえておくべき注目の10大テクノロジー

経済や社会の混乱が続く中で組織を強化し、変化に順応させるためには、今のシステム環境をどう変え、どのようなテクノロジーが必要となるのか。2023年以降で重要となるだろう10のテクノロジーについて解説する。

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 ガートナージャパンは「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」(開催期間:2022年10月31日〜11月2日)で、企業にインパクトを与え得る2023年の注目テクノロジー10項目を発表した(グローバルでは2022年10月17日に発表)。ガートナージャパンの池田武史氏(アナリスト、バイス プレジデント)は、2023年は『持続可能性』を踏まえた戦略が求められると語る。


2023年の戦略的テクノロジーのトップトレンド10項目(出典:ガートナーのリリース)

2023年の注目技術は? 押さえておくべき10大テクノロジー

 池田武史氏は2023年の注目テクノロジー10項目を「最適化」「拡張」「開拓」の3つに分類して説明した。今後、押さえておくべき10大テクノロジーを解説する。

 まず、「最適化」においては、「デジタル免疫システム」「オブザーバビリティの応用」「AI TRiSM」が挙げられた。

デジタル免疫システム

 デジタル免疫システムとは、生物が持つ免疫力のようにさまざまな技術を組み合わせて問題を「自動修復」し、顧客満足度を高めながら高いビジネス価値の創出に貢献する技術だ。2025年までにデジタル免疫システムに投資する組織は、ダウンタイムを最大80%削減し、売り上げの拡大に貢献するというのがガートナーの見立てだ。

オブザーバビリティの応用

 ソフトウェアエンジニアリングで注目される「オブザーバビリティ」(可観測性)をビジネスに応用することだ。ユーザーの行動データを戦略的に用いることで競争優位を獲得でき、データドリブンな意思決定につなげる。

AI TRiSM

 「AI TRiSM」とは、「AI Trust Risk and Security Management」(AIの信頼性、リスク、セキュリティ管理)の頭文字を組み合わせた言葉だ。企業の多くでAIのリスク管理が不十分な現状において、AI活動全般を最適化するアプローチだ。

今後進むとみられる「ワイヤレスソリューションの拡張」

 次に、「拡張」では「インダストリ・クラウド・プラットフォーム」「ラットフォーム・エンジニアリング」「ワイヤレスの高付加価値化」が紹介された。

インダストリ・クラウド・プラットフォーム

 インダストリ・クラウド・プラットフォームとは、SaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)を組み合わせ、業種に特化した機能群を提供することで業界固有のビジネスユースケースをサポートする仕組みだ。ガートナーは、2027年までに企業の半数以上がインダストリ・クラウド・プラットフォームを利用するようになるだろうと予測する。

プラットフォーム・エンジニアリング

 ソフトウェアのデリバリーとライフサイクル管理の効率化を目的に、セルフサービス型の開発プラットフォームを構築することだ。

ワイヤレスの高付加価値化

 Wi-Fiやモバイルデバイス向け4G/5Gサービス、LPWA(長距離データ通信を可能とする無線通信技術)、RFIDやNFCといった近距離無線技術など、あらゆる環境に対応するために、ワイヤレスソリューションを幅広く利用するようになるという。ガートナーは、2025年までに企業の60%が5つ以上のワイヤレス技術を同時に使用するようになるとみている。

全ての注目技術に関わる「持続可能なテクノロジー」

 最後に「開拓」で紹介されたのが「スーパーアプリ」「アダプティブAI」「メタバース」「持続可能なテクノロジー」の4項目だ。

スーパーアプリ

 スーパーアプリとは、アプリとプラットフォーム、エコシステムの機能を1つのアプリケーションに統合したものだ。スーパーアプリの実例はモバイルアプリが多く、2027年までに世界の人々の半数以上が日常的に複数のスーパーアプリを利用するようになるという。

アダプティブAI

 アダプティブAIとは、AIの開発当初は予測できなかった環境変化に迅速に対応するために、自律的に学習させるアプローチだ。外部環境の急激な変化や企業目標の変化に順応することが求められるオペレーションに適している。

メタバース

 メタバースは物理的現実とデジタル化された現実の融合によって作り出される仮想共有空間だ。ガートナーは、Web3やARクラウド、デジタル・ツインを組み合わせ、2027年までに世界の40%以上の大企業が売り上げ拡大を目的としたメタバース活用に投資するとみている。

持続可能なテクノロジー

 これはSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境、社会、ガバナンス)に関する活動をサポートするテクノロジーだ。池田氏は、2023年のテクノロジートレンド全体にも関連する技術だとコメントする。Gartnerの調査によれば、「利益」と「売り上げ」に次いで「環境と社会の変化」が優先課題のトップ3に挙あがったという。

 最後に池田氏は、企業に対して次のようにメッセージを送った。

 「こうしたテクノロジートレンドをすぐに導入しなければとプレッシャーを感じる必要はありません。しかし、一つもチャレンジしなければ、これからの時代に取り残される可能性があるでしょう。どのテクノロジーを優先して取り入れるべきかを戦略的に考え、CIOが示す必要があるでしょう」

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