年次の評価では不十分? フィードバック不足による突然の退職に要注意
年に一度だけの評価は管理上の負担が高く、しかもそれほど従業員の期待に応えられないという。デジタル化が進んで即時性が求められる世の中で、従業員はどのようなフィードバックを望むのだろうか。
パンデミックをきっかけに職場のイノベーションが急速に進んだ。変化と適応性に対する従業員の期待は、従業員へのフィードバックにも及んでいる。
年次の評価やフィードバックは大して意味がない?
ADPが2023年1月3日に発表したレポートによると、従業員は「仕事がよりパーソナライズされること」を望んでいる(注1)。従業員からのリアルタイムのフィードバックを奨励することで、雇用主は従業員のニーズに耳を傾け、適切に対応できる。
「世の中の大部分がデジタル化されているため、人々は即時性を期待するようになった。問題が発生したとき、彼らは迅速かつ徹底した対応を期待している」と、ADPはレポートで述べた。
ADPのレポートは、業績へのフィードバックの影響について考察したものだ。他の調査でも、業績評価の分野全般で同様の要求が高まっていることが報告されている。従業員から雇用主へ、あるいは雇用主から従業員への継続的なフィードバックは、「従業員が組織における自分の立場や将来についてより確信を持つのに役立つ」とLifeLabsが主催したイベントで専門家は述べた(注2)。
しかし、このようなフィードバックを成功させるには、人事部が適切なフレームワークを設定する必要がある。例えば、マネジャーが従業員と接触するための適切なツールや時間の余裕を用意することなどだ。「マネジャーは人事考課の時期までフィードバックを溜め込まず、記憶が新しいうちにフィードバックすることが奨励される」と専門家は語る。
そのため、多くの雇用主が年次レビューを廃止しようとしている。専門家がHR Diveに語ったところによると、年に一度組織全体で評価を完了させるという管理上の負担に加え、この種の評価は非人間的かつ非現実的である可能性があるという(注3)。
実は雇用主には、フィードバックプロセスの見直しを検討する、より差し迫った理由があるのかもしれない。Perceptyxが4月に発表したレポートによると、「意見を聞いてもらえないと感じた従業員は、退職を決意する可能性が高くなる」という(注4)。
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