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従業員との面談は「オープンな質問」をしないと離職する?

コロナ禍で人事部の役割は「管理」から「コンサルティング」へと変化しつつある。これからの時代に必要とされる、従業員が離職しない人事の振る舞いとは。

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HR Dive

 コロナ禍の初期に起こった相次ぐ失業は、サービス業やフードサービスなど特定の職種や業界に大きな打撃を与え、人事部もその影響を受けた。

 「一般的に、従業員サポートと組織改善の機能が最初にカットされる」と、PaycorのCHRO(最高人事責任者)であるパーラス・パーカー氏は語る。人事担当者の多くは早い時期に人員削減されたが、ここ数年で再び人材が求められ、DEIイニシアチブ(多様性・公平性・包括性への取り組み)に注力した結果、人事担当者の雇用は安定し、さらに需要が高まっている(注1)。

 ここ数カ月はレイオフのニュースが広がっているが(注2・3)、人事担当者は新たな人員削減に備えるべきなのだろうか。この疑問に対してパーカー氏は「そうとは限らない」と返し、次のように自身の見解を述べた。

 「人事分野でレイオフの傾向が再び見られないことを願っている。なぜなら、私たちは過去3〜4年間で学んだことを意識的に活用しているからだ」

「転職させない」人事のメソッドとは?

 ビジネスリーダーは、人事担当者が小切手を切ったり税務書類を提出したりするだけでなく、大きな価値をもたらす存在であることに気付き始めている。パーカー氏は「人事担当者の役割は、管理的なものから、より戦略的なコンサルティングを行うソートパートナーやソートリーダーへと変化している」と述べる。

 人事の役割が進化している兆しはあちこちで見られる。2022年10月31日、Society for Human Resource ManagementはCEO Academyの買収を発表し、「CEOとCHROの関係」に注目が集まった(注4)。HRテック企業Sageの調査では、各社の経営幹部が「ここ数年で人事の役割は劇的に変化し、人事部の評判やイメージは刷新の時期を迎えている」と回答した(注5)。

 人事部の戦略的な位置付けがますます高まることは、人事部を保護する機能として役立つとパーカー氏は言う。「人事担当者はコンサルティング的な役割を果たし、ビジネスリーダーのパートナーとして伴走できる。毎日火消しに回るよりも、より大きく、より長期的な結果に影響を与えることができる。これは極めて重要なことだ。そのためのより良く効果的な方法も学んできた」と同氏は述べる。

 人材の分析は、人事がその価値を証明する最良の方法の一つだ。「ここ数年の雇用市場で学んだことは、獲得したい人材が常に見つかるわけではない状況で、毎日『イエス』と言ってくれる素晴らしい人材は、既に組織内に存在しているということだ」とパーカー氏は指摘する。

 人事部はパーカー氏が言う「ギャップ分析」を行えば、人材の流出防止と企業ニーズの充足を同時に実現できる。「ジェニーはXが得意でビジネスにはYが必要な場合、『ジェニーと彼女のスキルをもっと活用するにはどうしたらいいか?』といったオープンエンドの質問をしてみる。そうすれば、ジェニーは自分の才能を他の場所に移そうとはしない(転職は考えない)だろう。彼女は、今いる会社が自分を別の方法で活用することを、既成概念にとらわれずに考えていると理解できる」と同氏は述べる。

 また、学習の重要性を強調することも重要だ。人事部は「従業員の成長とは、必ずしも昇進に次ぐ昇進のようなものではないと、明確に宣言するべきだ。私たちはスキルセットの幅広さによっても成長を期待する必要がある」とパーカー氏は見解を示す。

 人事担当者は、特定の機能しか扱えないという認識から窮屈に感じることがあるかもしれないが「自分が思っている以上にコントロールできることもある」とパーカー氏は指摘する。「私たちが最も脆弱(ぜいじゃく)になるのは、仕事をするために仕事をしている(惰性で仕事をしている)ときだ。組織にXという目標があり、それを達成するために人事担当者がどのような役割を果たすか。これが、望ましい結果を得るために増やしたり減らしたりできるレバーになる」。

 「人事部にとって良い時代だ。期待される業績を根本的に推進するための適切なレバーを引くために、人事部が影響を与えられる方法はたくさんある」とパーカー氏は述べた。

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