2023年1月10日付のDeloitteのレポート(注1)によると、パンデミック以降「仕事のルールを支配していた従来の境界線」がなくなり仕事の在り方が根本的に変化しているが、管理職はこの変化に対応できていないという。
変わりゆく仕事の在り方、組織と管理職はどう対応すべきか
変化の一例として、従来の職務構造からの脱却が予測されている。同レポートによれば、回答者の93%が「職務に重点を置かないことが成功のために重要だ」と答えた一方で、「この課題に取り組む準備ができている」と回答したのはわずか20%だった。
Deloitte Consulting LLPのマイケル・グリフィス氏(ラーニングコンサルティングプラクティスのプリンシパル兼リード)は、次のように述べる。
「職務は依然として仕事を定義する主要な方法だが、それが唯一の方法というわけではない。スキルベースのアプローチに移行することで、組織は従業員の潜在能力を最大限に引き出し、従業員自身のキャリアにおいてより多くの選択肢や成長、自律性を持てる職場にできる」
Deloitteのレポートでは、潜在的な原因として、大きなリーダーシップのギャップが指摘されている。調査の回答者の半数近くが、「管理職は新しい仕事の世界で何を優先すべきかを見極めるのに苦労し、重圧を感じている」と答えた。また、「現在の管理職は混乱を切り抜ける指導力を持っている」と回答したのはわずか23%だった。
マネジャートレーニングとリーダーシップスキルは、組織と個人の双方にとって最重要課題だ。「Udemy's 2023 Workplace Learning Trends report」のレポートでは、プロジェクト管理やコミュニケーション、リーダーシップがスキルコースの上位にランクインしている(注2)。
また、ハイブリッドワークの環境下ではマネジャーの裁量がより重要になるため、新進気鋭のリーダー育成に投資すべきと考える組織が増えている(注3)。特に、フロントラインのリーダーの多くはチームを率いた経験がほとんどないため、この傾向は顕著だ。一部の組織は、コーチングや包括的なマネジメント研修に投資している。
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