NVIDIA、バンカメ、Microsoft……労働者に好かれる“共通点”
Just Capital、JPMorgan Chase、Verizon Communications、Bank of America、NVIDIAの担当者が、なぜ労働者の支持を得ているのか、どのうように働きやすい職場を実現しているのかを語った。
米国人の平均的な価値観と一致する企業を選ぶ年次リスト「Just 100」のトップ3にBank of America、NVIDIA、Microsoftがランクインした。4〜10位の受賞企業(注1)としては、Accenture、Truist Financial、Verizon Communications、Hewlett Packard Enterprise、Apple、Intel、JPMorgan Chaseも名を連ねた。なお、同リストはJust Capitalの調査に基づいて決定された。
企業を任意のテーマで評価する取り組みとしては、ヒューマンライツキャンペーン財団(Human Rights Campaign)が職場における平等に関する企業の方針と取り組みを測定するベンチマーク「企業平等指数」(Corporate Equality Index)を発表している。これと同様に、Just CapitalのJust 100も企業の社会的影響度をランク付けしている。2016年にはForbesと提携して調査結果を発表して依頼、企業の社会的責任ランキングを発表してきた(注2)。
「Russell 1000 Index」の銘柄である企業は、Just Capitalが「米国の中核的な」経営課題としている項目で高いスコアを獲得する必要がある。このスコアは、米国人を対象に、ビジネスの優先課題を比較する調査から導き出されたものだ。2022年の報告書では、回答者は「公正な生活賃金」「従業員の健康」「L&Dの機会」「ワークライフバランス」に対する雇用者のサポートを主要な人事課題として挙げている。以下で、Bank of America、NVIDIA、Microsoft、Truist Financial、Verizon Communications、JPMorgan Chaseの各社が、なぜ自社が従業員にとって心地よい職場を実現できているのかをコメントした。
NVIDIA、バンカメ、Microsoftの職場はなぜ心地がよいのか
Bank of Americaのジョン・ヤンナコプロス氏(環境、社会ガバナンスに関する広報担当者)は、「HR Dive」の取材に際し、同社の人材戦略について電子メールで次のように述べた。
「当社の幹部は従業員を最優先事項として捉えている。私たちは働きがいのある職場であり続けることに日々注力している。世界中の全てのチームメイトを受け入れる職場であること、業績を認め、それに報いること、チームメイトが成長する機会を作ること、そしてチームメイトの経済的、身体的、感情的な健康をサポートすることによってその目標を推進している」
NVIDIAの広報担当者は、多様性や多様な人材へのサポートが、同社を社会的に責任のある職場にしていると説明する。
「当社は従業員の身体的、精神的、経済的な幸福に配慮した福利厚生、プログラム、リソースを提供することで、従業員とその家族のニーズを満たしている。当社は高水準の給与を保証するだけでなく、性別、人種、民族によって報酬に差がないことを示すペイパリティを過去数年間にわたって達成してきた」(NVIDIAの広報担当者)
また、この広報担当者は、NVIDIAでは退役軍人やニューロマイノリティー、有色人種、LGBTQ、共働き夫婦や介護者などの従業員も働いていると紹介した。さらにNVIDIAの社会的責任のある職場においては、従業員のフィードバックのための「オープンチャンネル」や気候科学に焦点を当てたビジネス、従業員のためのボランティア活動の機会も提供している。
Microsoftの広報担当者は、同社が社会的責任に寄与しているという資料を示し(注3)、テクノロジー企業のDEI、職場の安全、L&Dへの取り組みについて詳しく説明した。同社は2022年6月、労働組合に対して「オープンで建設的」な見解を示すと発表し、大きな話題になった。2022年12月には、ゲーム部門の従業員がMicrosoftの米国初の組合を結成した(注4)。
Truist Financialの広報担当ディレクターであるカイル・タランス氏は、Just Capitalのリストで表彰されたことについて興奮気味に語っている。
「目的の達成はまず内部から始まる。当社はDEIへの揺るぎないコミットメントや、業界をリードする最低賃金、福利厚生、総合的な報酬プログラムを提供するなど、チームメイトに重点を置いていることを誇りに思っている」と同氏は電子メールで述べた。
また、Verizonの従業員コミュニケーションマネジャーであるアンドリュー・エブル氏は、同社のESGレポートについて言及し、女性および男性に対する育児休暇、Just Capitalとのファイナンシャルウェルネスの取り組み、授業料補助などのスキルアップと再スキルの機会などを紹介した。さらに、Verizon Communicationsの公正な報酬(注5)について、エブル氏は「男女の給与の公平性は100%」であり、米国では「人種や民族を考慮した給与の公平性は100%」であることを挙げた。
そして最後に、JPMorgan Chaseの広報担当者は、従業員のために多様で包括的な文化を醸成することを目指しているとHR Diveに電子メールで伝えた。JPMorgan ChaseのDEI(多様性、公平性、包括性)コミュニケーションの責任者であるマネジングディレクターのアリソン・カーン氏も「その取り組みは長年にわたり、現在も続いている」とコメントしている。
JPMorganがこのリストに掲載された主な理由として、カーン氏は、ビジネスリソースグループや人種的平等への取り組みとともに、「尊重の文化」と「経営陣の説明責任」を挙げている。この金融会社は、「従業員が自分の居場所を感じ、コミュニティー意識を育み、多様なグループの中で自分の居場所を発見できるような環境作りに注力している」と述べている。
Just Capitalのマーティン・ウィテカーCEOは、自身の信条を電子メールで次のように語る。「リベラル、保守、高所得、低所得、男性、女性、ミレニアル、ブーマーなどのカテゴリーに属する全ての米国人が、企業経営で従業員のニーズを中心に考えてほしいと思っている。注目すべきは、2023年のリストで、テクノロジー企業やソフトウェア企業が”最も公正な企業”の1位に選ばれなかった初めての年であることだ」
「銀行や金融機関は、従業員への投資(特に賃金データや給与の公平性に関する透明性)と雇用の創出により、2022年の成績を伸ばしている」とウィテカー氏は述べ、Bank of Americaが2022年に、最低賃金を時給22ドルに引き上げたことなどの動きに言及している。
2023年のテクノロジー企業のレイオフに関するニュースが続いているが、このリスト全体を見たときに、上位10社の中でテクノロジー企業が依然として強い存在感を示していることが分かる。
「多くの企業が、従業員の雇用を維持し、従来のような大量解雇を避けるために、より積極的な取り組みを行っている。Bank of Americaのブライアン・モイニハンCEOは、2022年12月に、『レイオフの必要性を感じておらず、自然減に任せて人員を削減する予定』だと述べている。とはいえ、レイオフやダウンサイジングは自由市場経済では避けられないことであり、一般的にも理解されている。労働者が望んでいるのは、雇用が失われても従業員を尊重する、より公正なアプローチだ」とウィテカー氏は言う。
© Industry Dive. All rights reserved.
関連記事
- 人材の多様性とセキュリティ強化の関係とは? 多くの企業が見落としている対策
サイバーセキュリティはビジネスで最も重要な課題の一つになった。サイバー犯罪はとどまるところを知らず、被害が増え続けている。だが、人材が足りない。どこからどのような人材を探せばよいのだろうか。 - カルチャーリーダーが語る「企業文化の醸成に必要なのは社員の声を聞くこと」
企業の成長とパフォーマンスばかりに目を向け、なおざりになりがちなのが「企業文化」。文化は企業のアイデンティティーであり、組織と従業員をつなぐ役割もある。企業文化醸成において、カルチャーリーダーが成すべきこととは。