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コラム

警察の職質からビジネスのヒントを得た記者、それってどういうこと?

久しぶりに職務質問を受けた筆者は、ふと“あるツール”の取材での出来事を思い出した。職質は犯罪者となり得る人物の兆候を見いだし、検挙率の向上や犯罪抑止につなげるための職質は、「兆候を見つけて行動に移すことで目的達成につなげる」あのツールと同じ原理なわけで……。

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 久しぶりに職務質問(以下、職質)を受けた。

 2人組みの警官に「ちょっといいですか」と優しく声をかけられ、物陰に連れて行かれたのだが、職質はこれが初めてではない。外見の怪しさからか、若い頃よく声を掛けられていたことを思い出す。

 今や単なる”くたびれたおじさん”なので、なぜお声が掛かったのかが分からない。感情が表に出ていたせいか、開口一番「全身アウトドアの服を着ているので、もしかしたらナイフとか持ってないかなって」とその理由が明かされた。


職質当日の服装。ジャケットはpatagonia、ズボンはgramicci、帽子はDOD、靴はKEEN。確かにアウトドア系ブランドばかり。

 あ、そういうパターンってあるのか。結果として、バッグや服のポケットを調べられ、最終的には鍵束を見せて欲しいと迫られる。ナイフを鍵束につけている人がよくいるらしい。

 まあ懸念点はよく分かる。おそらく私の風体や特徴が、警察の中で共有されている“銃刀法違反に該当する人物”のナレッジの一つなのだろう。

警察の職質からビジネスのヒントを得た記者、それってどういうこと?

 先日、あるツールについて取材する機会を得た。改めてその仕組みを聞いてみると、一周回って新鮮だった。仕組みこそ洗練されているものの、通底に流れる思想は、私自身が20年以上にわたって仕事で重視してきたこと同じだったからだ。

 私自身、Webメディアに関連した仕事をして四半世紀を数えるが、継続してWebサイトに訪れてもらうための工夫は、常に意識してきた。訪問してくれる読者が成功体験を得られるよう、その体験づくりに向けて、Webサイト訪問者のログを解析し、満足感が得られる記事のあるべき姿を今も模索し続けている。

 そんな成功体験をあらゆる業界で継続的に作り出していくためのソリューションがカスタマーサクセスツールだ。

 カスタマーサクセスツールが今になって注目されているのは、ビジネスモデルの転換が大幅に進んだからに他ならない。従来のような売り切り型のビジネス中心だった企業も、今やSaaSをはじめとしたサブスクリプションモデルへと大きく舵を切っている。継続した契約で収益を上げるサブスクリプションモデルにおいて、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化、つまりは売上を拡大させるためには、契約後のサポートや利用者の声を反映した継続的な機能アップが必要だ。近年は、営業とは別に、カスタマーサクセスに関連した部署が設置されている企業も多く、顧客管理や契約管理のために、カスタマーサクセスツールが役立てられている。

 カスタマーサクセスツールは、豊富な機能が装備されている。顧客の契約情報や問い合わせ情報の一元管理機能の他、アプローチ履歴や利用状況から顧客が利用継続してくれるかを判断するヘルスチェック機能、解約に至る兆しをいち早く察知する機能、解約を防ぐため行動をシナリオ化したプレイブック設定機能などが一例だ。SalesforceをはじめとしたSFAやCRMと柔軟に連携しながら、利用者の期待値調整をしたり、サービスメニューの拡販に伴うアップセル・クロスセル戦略の活動進捗などを記録したりする機能も充実している。

 取材時は、ツールを導入すれば解約率の低減にもつながりそうだという印象を受けた。しかし、顧客が違うサービスへの切り替えを検討している、または解約しようとしている兆候を捉えるためには、これまでサポート部門が持っていた情報をもとに最適なシナリオを導き出す必要があり、かなり難易度が高いと予想できる。ツールも含めたさまざまな情報が具体的なアプローチにつながるような工夫や運用をすることが大きな鍵となるだろう。顧客の情報を分析して大きな成果を上げている具体的な事例をしっかり取材してみたいところだ。

 ただし、企業におけるカスタマーサクセスの取り組みは、おそらく高度なノウハウが詰め込まれているため、兆候を判断するための係数やその動きについて詳しく取材できない可能性は高い。なにせ、売上に直結する重要なナレッジだけに、競合には知られたくないところだろう。

怪しさ要素の深堀りしたい、警察から見たカスタマーサクセス

 冒頭での職質を改めて思いかえすと、職質は犯罪者となり得る人物の兆候を見いだし、積極的に声掛けすることで検挙率の向上や犯罪抑止などにつなげる試みだと考察できる。その意味では、カスタマーサクセスとしてのナレッジが私への声掛けに至ったと言えなくもない。もちろん、その時のカスタマーは私であり、顧客として私の満足度が向上するわけではないのだが。

 大勢の人が行きかう地元の駅前で声を掛けられたせいか、恥ずかしさもあってアウトドア以外の"怪しさ"要素は聞き出せなかった。取材を生業としている身として、次の機会があればもう少しナレッジを深堀してみたいものだ。


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