中部電力グループのS/4HANA導入による構造改革、ERPですぐに成果を上げるには
中部電力グループは約1年半前にS/4HANAを導入し、得られたビジネスの成果を発表した。中電シーティーアイがグループの中心となってスムーズな導入を実現しているというが、その方法とは。
中部電力グループは、クラウドERPの「SAP S/4HANA Cloud」(以下、S/4HANA Cloud)を約1年半前に導入し、ビジネスの成果を上げている。同グループは、どのようにしてS/4HANA Cloudの導入に成功したのだろうか。
中部電力グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進では、まず中電シーティーアイが先行サービスを導入してノウハウを蓄積し、後にグループ全体へサービスを展開している。
同社は短期間かつ標準的な業務プロセスを取り込むことができる新たなシステム基盤として、電力業界で初めてS/4HANA Cloudを導入し、経費精算ツールとして「SAP Concur」、従業員の教育業務として「SAP SuccessFactors」を導入した。
S/4HANA Cloudの導入では、従来のスクラッチ開発とは異なる、標準機能を活用するFit to Standardの方式を採用した。その結果、約1年という短期間でS/4HANA Cloudを導入し、2021年10月に本番導入を迎えた。導入に当たり、従来の体制や進め方を変えるための構造改革に取り組み、ビジネスプロセスの見直しやFit to Standadに対応できる技術者の育成に注力した。
導入後、経理業務のうち決算については、利便性の向上や自動化によってデータ入力にかかる工数を削減し、作業時間を短縮できた。また、決算データの取得が容易になったため、分析業務の効率も上がった。SAP Concurの導入によって、交通系ICカードとのデータ連携や電子承認によるペーパーレス化を果たし、経費精算関連業務の工数を大幅に削減した。
同社は、「今後も中部電力グループ全体のDX推進を継続していく一方で、導入の経験やノウハウを活かし、グループ内はもとよりグループ外でのインテグレーターとして業務拡大を目指す」としている。
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