「辞めさせたくない社員」を辞めさせないためにやるべきこと
特に若手の人材流出が止まらない現在、彼らを思いとどまらせるにはどのような方策が必要なのか。労働者への意識調査から、退職を考えている従業員のエンゲージメントを取り戻す方法を探る。
Workhumanが2023年2月に発表した労働者への意識調査では、労働者の約3人に1人が雇用主から「話を聞いてもらえない」または「(会社から)無視されている」と回答した。さらに、従業員の4分の1近くが「同僚との会話から締め出された」と答え、また、ほぼ同数が「同僚から避けられている」とした。
The Conference Board(全米産業審議会)による過去の調査では、アンケート対象者の約3分の1が「帰属意識が低下した」と回答し、37%が「メンタルヘルスが低下した」と答えた。注目すべきは、エンゲージメントの減退が必ずしも生産性を低下させるわけではないということだ。頑張り過ぎない働き方をする「静かな退職」とは反対に、「他人から見られていない」と感じた結果、18.2%が「仕事を増やしたことがある」と回答したという。
従業員のエンゲージメントを取り戻す有効な方法とは
調査に参加した労働者は、仕事に対する不調を解決する方法として「エンゲージメントの重視」を挙げた。また、リーダーシップとのつながりも重要な要素だと考えている。Workhumanによると、組織が彼らを称賛したり仕事ぶりを認めたりすることで、彼らは会社から「見られている」と感じるようになるという。
また、社会的つながりの機会を育むこと、つまり従業員の個性を尊重すること、いじめを取り締まること、そして飲み会以外のイベントを開催することの重要性も調査の中で挙げられた。
この研究では、人とのつながりはフィードバックを繰り返すことで強まるとある。Workhumanの研究者によると、労働者の約3分の1が「(会社から)見られていると感じると、よりエンゲージメントが高まる」と答え、約38%が「見られていると感じると自信が持てる」、約40%が「パフォーマンスが向上する」と回答した。
それほど大きいな数値ではないが、従業員と雇用主の権力闘争において大きな意味を持つ。約20%の回答者が「雇用主から見られていると感じれば、仕事を辞める可能性が低くなる」と答えた。
© Industry Dive. All rights reserved.
関連記事
- 異動しづらいと辞職続出? 従業員のキャリアのために上司がすべきこととは
社内異動の道がない企業の従業員は離職する可能性が高いことが分かった。一方で、ただ社内異動を促進すれば良いという話でもなさそうだ。部下のキャリア開発のために上司がすべきこととは。 - 最低限の仕事しかしない「静かな退職」をした従業員に上司はどう向き合うべきか
「静かな退職」は、必要以上に頑張ることをやめ、最低限の仕事をこなすような働き方を指す言葉として、にわかにブームになった。「静かな退職」を選ぶ従業員に対して上司はどのような対応をすべきか。 - 人事評価システムとエンゲージメントの深い関係 給与査定の道具から離職率低下の切り札になるか?
今回は人事評価システム活用の重要性と選定のポイントについて紹介する。超人材売り手市場の現在、従業員の離職を防ぐためにも社員の仕事を適切に評価し、エンゲージメントを高めることが重要だ。