コロナ禍が始まって以来、メンタルヘルスは雇用主が取り組むべき重要なテーマとなっている。マーケティングプラットフォームSemrushのレポートによると、メンタルヘルス対策に関するGoogleの検索回数は、2020年2月から2022年2月にかけて大幅に増加しているという(注1)。
テレワークはメンタルヘルスにとって「悪」なのか?
この問題は、特にテレワーカーにとっては深刻なようだ。メンタルヘルスに関する各種調査では、どのような結果が出ているのだろうか。
2022年10月にRSM USと米国商工会議所が行った調査(注2)によると、経営者の64%が「テレワークが従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす」と回答し、前年の55%から上昇した。また、73%は「労働者が孤立を感じる」と回答し、2021年の68%から上昇した。専門家によると、雇用主は潜在的なメンタルヘルスの問題を見逃さないために、テレワーカーとのつながりを維持する努力が必要だという(注3)。
健康や生産性の調査に関する非営利団体Integrated Benefits Institute(IBI)が2023年2月20日に発表したレポートによると、完全なテレワーク(40%)またはハイブリッドワーク(38%)の場合、出社組(35%)と比較して、労働者の不安やうつ症状の割合が増加したことが明らかになった(注4)。
同レポートによれば、2021年7月から2022年8月にかけて、「メンタルヘルス処方を受けている人」が20%から22%に、「カウンセリングの潜在的な需要」が12%から14%に増加する一方で、「不安やうつ症状」は全体的に40%から35%に減少したことが報告された。
IBIのリサーチディレクターを務めるキャンディス・ネルソン氏は次のように述べる。
「このレポートは、広く普及しているメンタルヘルスの問題である不安やうつ症状の経験について徹底的に検証したものだ。このような経験は軽度のものから重度のものまであり、出社しても働けない状態(Presenteeism)や病気による欠勤、障害の重要な原因になっている。この調査は、雇用主に包括的かつタイムリーな事実を提供し、メンタルヘルスに対応するプログラムや福利厚生をより的確に提供できるようにするために実施された」(ネルソン氏)
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