日立や楽天も導入するWorkday HCM、2023年は「AI」強化を狙う
大企業を中心に導入が進む「Workday HCM」。2023年は「AI」機能の強化を図るようだ。人事システムはどのようにAIを活用できるのだろうか。
ワークデイは2023年4月12日、経営方針の記者発表会を開催し、日本における積極的な販売展開の方針を示すとともに、大規模なユーザーデータを基に実装された「Workday HCM」の興味深い機能を紹介した。
Workday HCMの注目機能、2つのトピック
「Workday HCM」は給与計算や就業管理、目標設定、タレントマネジメントなどの業務を包括的にサポートするプラットフォームとなっている。多くの機能を有するサービスだが、特に今後注目の機能は「AI(人工知能)・ML(機械学習)」「マネジャーとのコミュニケーションプラットフォーム」の2つだ。
4000億以上のトランザクションを基にしたAI・ML機能
Workday HCMの強みの一つは、全世界6000万人のユーザーと4420億のトランザクションデータを学習したAI機能だ。ユーザーに対して、職務定義を構成するスキルの提案や募集職種の提案、異常値の検出、ラーニングコンテンツの推奨などを行う。
「ChatGPT」をはじめとして進化が目覚ましい分野だが、今後の機能強化についてワークデイの正井拓己氏(エグゼクティブ・プレジデント)は「(AI機能が)全社で最も優先順位の高い開発案件だ」とし、「2023年中に何かしらの新機能がリリースされる見込みだ」と述べた。
上司とのコミュニケーションを円滑にするプラットフォーム
Workday HCMの中で近日中にリリースされる「Workday Peakon Employee Voice」は、従業員からのフィードバックを収集、分析するプラットフォームだ。従来のパルスサーベイのように定期的に従業員へアンケートを配布したり、アンケートへの回答を基に上司と部下でコミュニケーションを取ったりすることができる。また、先述した大規模なデータに基づくAI機能も実装する予定だという。Workday HCMの他のデータと連携した従業員エンゲージメントの分析も可能だ。
ワークデイの社内では既に同サービスを利用しており、週次でパルスサーベイを実施しながら、従業員は状況に応じて企業や上司へのフィードバックを送っている。これによって、上司と部下のコミュニケーションが図られているという。
その他、ワークデイは日本におけるパートナーエコシステムの強化や日本法人の拡大を発表した。直近の業績も好調な同社は、日本における販売をさらに拡大する見込みだ。
米WorkdayのCEO(最高経営責任者)を務めるカール・エッシェンバック氏は、今後の日本における展開について以下のようにコメントした。
「大退職時代(Great Resignation)の競争を勝ち抜くには、『人への投資』とそれを実現するクラウドプラットフォームが不可欠だ。日本の現政権は『人への投資』を促しており、日本のマーケットは大きな可能性を秘めている。今後は日本の商慣行に合わせた製品も積極的に展開していきたい」(カール氏)
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