米フェニックス大学キャリア研究所が2023年3月21日に発表したレポートで、労働者に好かれない企業のある特徴が明らかになった(注1)。
なぜ、あなたの企業から人材が辞めていくのか?
同レポートによると、燃え尽き症候群などの問題が顕在化しているにもかかわらず、米国の労働者の80%は「自分のキャリアの将来に希望を感じている」と回答している。そのように、スキルに自信のある労働者が多いと「労働市場の流動性が高まる」と同レポートは指摘する。
では、そのような労働者は、どのような理由で今の職場を離れていくのだろうか。
調査対象となった5000人の労働者の多くは、会社がもっとスキルアップの機会を提供してくれるなら、ずっと働き続けたいと述べている。
フェニックス大学の学長兼最高教育責任者であるジョン・ウッズ氏は以下のように述べる(注2)。
「不安定な経済状況の中、特に優秀な人材のリテンションが重要になっているため、雇用主は福利厚生以外の解決策を模索している」(ウッズ氏)
同氏は労働者が「メンターや新しいスキルへの投資、社内でのキャリアアップの機会を求めている」とし、「現在の雇用主からこれらの機会を得られていないのであれば、彼らはすぐに会社を辞めるだろう」と指摘した。
回答者の半数以上が「積極的に新しい仕事を探している」または「今後6カ月以内に探し始める予定」だと回答している。約46%は「雇用主が3カ月分の給与を支払う退職金制度を提供するならば、退職しても構わない」と回答している。しかし、転職活動中の人のうち68%は、「会社がもっとスキルアップを図ってくれるなら残る可能性が高い」とも答えている。
同レポートは、雇用主が人材を確保するための推奨事項をいくつか提示した。1つは、トレーニングプログラムへの投資だ。約40%の労働者が、「会社から具体的なスキルアップの機会が提供されていない」と答えている。また、70%の労働者は、「新しいスキルを身に付けるための実践の場を与えてくれるなら、今の勤務先でキャリアを積む可能性が高くなる」と答えた。
トレーニングや新しいスキルが提供されないと退職する可能性が高いという考え方は、他の調査でも確認されている(注3)。2023年はテクノロジー企業でそのようなトレーニングを実施する例がよく見られ、関係者は「新しい人材を採用するよりも、現在の人材のスキルアップに再投資することを計画している」と語った(注4)。
同レポートによると、メンター制度も労働者に歓迎されているようだが、2023年はメンター制度を利用した労働者が少なかった。調査対象のアメリカ人の約56%が「メンターがいない」と答え、42%が「職場で自分をサポートしてくれる人がいない」と答えている。さらに、回答者の3分の1が「サポートしてくれる人がいないことが自分のキャリアの足かせになっている」と答えている。
燃え尽き症候群に対処し、ウェルビーイングを維持するために、雇用主は従業員のメンタルヘルスに注意すべきであることが報告書で明らかになった。回答者の過半数(74%)は、「仕事やキャリアについてストレスを感じている」と回答している。約39%が「仕事上のストレスに対処するためにメンタルヘルス関連のリソースを探したことがある」と答えている。
「キャリア形成に関する雇用主の考え方と、従業員が雇用主に抱く印象にギャップが広がっている。雇用主は、短期的な対策ではもはや従業員を維持できないという現実に直面している。より深く長期的なサポートと、従業員への投資を行うことが求められている」(ウッズ氏)
出典:Workers say they’re hopeful about the future of their careers - but not with their current employers(HR Dive)
注1:About University of Phoenix Career Institute
注2:2023 Career Optimism Index Reveals How Employers Can Retain Talent in a "Free Agent" Labor Market
注3:Upskilling is key to weathering the ‘Great Resignation’
注4:As tech layoffs lead to strained teams, leaders lean on L&D
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