SAP、IBMのAIテクノロジーをSAPソリューションに組み込むと発表
SAPはIBMのAIテクノロジー「IBM Watson」をSAPのソリューションに組み込むと発表した。SAPはIBM Watsonを利用して「SAP Start」のアシスタント機能、「デジタル・アシスタント」を強化する。
SAP SE(以下、SAP)とIBMは2023年5月2日、IBMのAI(人工知能)テクノロジー「IBM Watson」を自社ソリューションに組み込むと発表した。SAPはIBM Watsonを利用して「SAP Start」のアシスタント機能、「デジタル・アシスタント」を強化する。
SAP Startでは、SAPおよび「SAP S/4HANA Cloud」で提供しているアプリの検索や起動、インタラクティブな操作が可能だ。IBM Watson AIを活用することで、自然言語機能と予測的洞察でユーザーの生産性を高めるとする。
SAPのクリスチャン・クライン氏(CEO兼執行役員)は「AI、機械学習、その他のインテリジェントな技術をSAPソリューションに組み込むために協力することで、両社共通のお客さまにとってより良いビジネス成果をもたらすことができます」と述べた。
新たなデジタル・アシスタントはSAPソリューション全体で利用でき、管理職や一般従業員のさまざまな質問への回答を支援する。一般的なタスクを自動化、高速化することで、従業員の生産性を向上させ、より戦略的な業務に集中できるようにする。
また、AIと機械学習を使用してさまざまなデータソースから情報を抽出し、部門を超えたユーザーの質問に答えられる。例えば「SAP Concur」の「TripItモバイルアプリ」では、IBMのAIによる気象予報に簡単にアクセスでき、より良い旅行プランが選択可能になる。
IBMのアービンド・クリシュナ(会長兼CEO)は次のように述べた。
「今回の発表により、IBM Watsonの強力な企業向けのAI機能をSAPの主要なERPプラットフォームに実装し、企業が顧客体験を再構築し、生産性を高め、成長を促進できるようにしていきます」
SAPとIBMは、IBM WatsonのAI機能をSAPソリューションに組み込むことに加え、SAPのアプリケーションの継続的な学習と自動化を実現するため、生成AIと大規模言語モデルにおいて協力する。また日本IBMは、自社のSAP専任チームとデータ・サイエンティストを有するチームが連携してSAPソリューションの提案と導入を支援するとした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- SAP、中堅・中小企業が最短4週間でクラウドERPを稼働できる「GROW with SAP」を発表
SAPは、中堅・中小企業がクラウドERPを短期間で稼働できる「GROW with SAP」を発表した。SAP S/4HANA Cloudと導入促進サービスや専門家のグローバルコミュニティー、無料の学習リソースを組み合わせ、4週間での稼働を目指すという。 - SAPユーザー全体の約1割が回答した「SAP移行の現在地」 直面する課題が明らかに
電通国際情報サービスは2018年からSAPユーザーに意識調査を実施している。2022年は、SAPユーザー全体の約1割に当たる、232社のユーザーから回答を得た。調査の結果から、SAP S/4HANAへの移行を検討する企業や移行済みの企業が直面する、さまざまな課題が明らかになる。