SAPとMicrosoftがジェネレーティブAIを共同提供 その目的は
SAPは、Microsoftのエンタープライズ対応のジェネレーティブAI(生成AI)を用いて、ユーザーのビジネス課題の解決を支援すると発表した。その目的は。
SAPジャパンは2023年5月16日、Microsoftのエンタープライズ対応のジェネレーティブAI(生成AI)を用いて、ユーザーのビジネス課題の解決を支援すると発表した。
長年のパートナーシップをさらに強化するワケ
「SAP SuccessFactors」ソリューションと「Microsoft 365 Copilot」および「Copilot in Viva Learning」の統合により、人事部や業部門のリーダーがAI(人工知能)を活用してチームメンバーの採用や育成をできるよう支援する。
また、自然言語を分析、生成する言語モデルにアクセス可能なMicrosoftの「Azure OpenAI Service」も統合し、組織が人材を惹きつけ、維持し、スキルアップさせる方法の改善に寄与する。
SAP SEのクリスチャン・クライン氏(CEO兼エグゼクティブ・ボード・メンバー)は、次のように述べた。
「長年にわたりMicrosoftとSAPは協力して、お客さまのトランスフォーメーションジャーニーの推進を支援してきました。SAPは以前からAIをソリューションに組み込んでおり、ジェネレーティブAIがわれわれの業界とお客さまにもたらす可能性に非常に期待しています。本日の発表は、50年にわたり世界中の企業に信頼されるイノベーションを積み重ねてきた私たちが、ジェネレーティブAIの力をビジネスにもたらす一例です」(クライン氏)
また、Microsoftのサティア・ナデラ氏(会長兼CEO)は次のように述べた
「私たちは、人事機能を含む全ての個人、組織、産業の生産性の向上を引き出す次世代AIを提供するすばらしい機会を得ています。私たちはSAPとの長年にわたるクラウドパートナーシップを基に、Microsoft 365 CopilotのパワーとSAP SuccessFactorsのソリューションを融合させ、組織が最も重要なリソースである人材を引き付け、育成する方法を変革します」(ナデラ氏)
採用活動と社員学習の効率化
今回の協業とSAPによるAzure OpenAI Serviceの利用を通じて、SAPとMicrosoftは採用や従業員教育のプロセスを効率化する。
採用管理
SAPは、Azure OpenAI ServiceとSAP SuccessFactorsソリューションのデータを活用し、職務経歴書を作成する。
「SAP SuccessFactors Recruiting」ソリューションとMicrosoft 365の統合により、人事部および事業部門のリーダーは「Microsoft Word」のCopilotを使用して、偏りを検出するためのコンテンツやチェックを追加して、職務記述書を微調整できるようになる。
その後、最終的な職務経歴書はSAP SuccessFactorsソリューションで公開され、ワークフローが完結する。またSAPは、Azure OpenAI Service APIを活用し、候補者の履歴書や職務内容、類似職種に基づいた質問候補をMicrosoft Teams内で面接官に提供する予定だ。
学習管理
SAP SuccessFactorsソリューションと「Microsoft Viva Learning」の統合により、従業員はViva LearningのCopilotで自然言語によるクエリを実行し、従業員のキャリアと開発目標に沿ったSAP SuccessFactorsソリューションのデータと学習コースに基づいて、パーソナライズした学習推奨事項を作成できるようになる。
学習が完了すると、SAP SuccessFactorsのポートフォリオが自動的に更新され、企業は組織内のスキル状況について最新のビューを得られる。この機能強化は、現在利用可能なコンテンツや割り当て、権限、SSO同期、および2023年後半に顧客に提供される自動管理設定エクスペリエンスとの強固な統合を基盤としている。
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