横行する業務PCの私的利用 「アブナイ」サイトを見る人も?:企業におけるPCの利用状況(2023年)/後編
業務PCを私的利用してしまうケースもあるようだ。どのような用途だろうか。企業におけるPC管理の実情やPCへの不満、リプレース頻度なども紹介する。
業務で利用するPCについて、キーマンズネットでは定期調査を実施しニーズの移り変わりを考察してきた。今回も前編に引き続き、「PCの利用状況に関するアンケート」(実施期間:2023年5月26日〜6月5日、回答件数:375件)の調査結果を基に「PCの私的利用状況」や「PCに対する不満」「リプレース頻度」などを紹介する。
4人に1人が「私的利用」 何に使っている?
はじめに業務PCの私的利用について調査したところ、全体では「よくある」(6.4%)、「たまにある」(19.2%)を合わせ4人に1人程度が「私的利用」しているようだ。
従業員数100人以下の中小企業では41.8%と突出して高い(図1)。次章で紹介するように、中小企業では個人が業務PCを管理するケースも多いためと思われる。
業務PCを私的利用したことが「よくある」「たまにある」と回答した人に、その用途をフリーコメントで聞いた。
最も多かったのは「オンラインショッピング(予約含む)」や「外部とのコミュニケーション」だった。前者は「Amazon、YahooなどのECサイトで買い物をした」や「確定申告、ふるさと納税、航空券手配」「レストランの検索のためグルメサイトを利用」「旅行予約サイトを利用」といった回答だ。後者は「LINEアプリ」や「プライベートなメール」などが寄せられた。
他にも「YouTube」や「Twitterやブログの閲覧」といった声も寄せられ、なんと「アダルトサイトを視聴した」とコメントがあるなど、想像以上にさまざまな用途で私的利用されているのが現状だ。フィッシングや外部への情報漏えいなど、セキュリティリスクにつながりやすいサービスの利用も見受けられる。
企業におけるPC管理の実情は?
次にPCのライセンスやソフトウェア資産管理の実施状況を聞いたところ、「情報システム部門が一括管理している」(73.3%)や「総務部門が一括管理している」(11.5%)など、管轄部門が一括管理する場合が多い(図2)。
従業員規模別にみると、100人以下の中小企業では、「個人の管理に任されている」が33%と高い割合だ。人材不足でIT部門が設置できないなど、中小企業の悩みが透けて見える。PC管理を個人に任せることで私的利用も広がりやすい。情報漏えいなどのリスクを認識しておく必要がありそうだ。
ちなみに、現在業務で使用している端末のOSを調査したところ、大多数が「Windows 10」(84.3%)で、次いで「Windows 11」(25.3%)、「iOS」(4.0%)、「Windows 7」(3.7%)などが続いた(図1)。
従業員規模別に見ると100人以下の中小企業では「Windows 11」(40.7%)や「Windows 7」(7.7%)、「macOS」(6.6%)といった回答も多く、個人の自由で端末を選んだりOSをアップデートするケースが多いと思われる。大企業はWindows 10の利用者が多く、今後はWindows10のサポート終了に向け、徐々にWindows 11へのアップデートが進むだろう。
375人の「不満」から見えてきたPCへのホンネ
最後に現在利用中の業務PCについての「不満」を紹介する。
最も多いのはスペックへの不満だ。「ストレージが小さい、SSDでは無いのでアクセス遅い」や「HDDのためファイルの読み書きに時間がかかる」といった声が多く挙がった。
他にも「『numlock』と『backspace』を押し間違える」「バッテリーが省電力モードでも2時間しか持たない」「バッテリー使用時の利用可能時間が短すぎる」といったキーボード配列やバッテリーに対しての不満、「モニターの接続可能数が少ない」などの意見も寄せられた。
次に多かったのは携帯性に対する不満で「重量が重く持ち運びに不便」や「ライフワークバランスの観点から出社+在宅+サテライトオフィスでの業務となっているが、PCの持ち運びが面倒」があった。
一方で「ノートPCはキーボードが小さくて使いにくい。出張では必要だが、デスクワークで使う物ではない」との意見もあり、コロナ渦を経てノートPCを導入する企業が増えたが、「働き方に合わせたPCが欲しい」という声もあるようだ。
ちなみに業務PCの買い替え頻度は「4〜5年おき」(50.9%)が多い(図4)。従業員規模別でみると大企業、業種別ではIT関連業において短いサイクルで買い替える傾向にあり、中小企業や公共系の業種では1台を長く利用する傾向にあった。
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