リーマンショック以来? 「老後の備え十分」な人はどれだけ減っているのか
コロナ禍によって人々の貯金事情はどのように変化したのか。また、「退職に向けて十分に貯蓄がある」と考えている人や、退職金を老後の生活資金の頼りにしている人はどの程度いるのだろうか。
退職後の生活資金として頼りにしている人も多い「退職金」。コロナ禍や経済の混乱によって、人々の「懐事情」はどのように変化しているのだろうか。
「十分に貯蓄ある」人は何%?
退職金を頼りにしている人や「退職に向けて十分に貯蓄がある」と考えている人はどの程度いるのだろうか。ある非営利団体の調査結果から、退職金で生活費などを賄う予定の人の割合や、その割合の世代ごとの違いが明らかになった。
トランスアメリカ退職研究センター(TCRS)が2023年7月6日(現地時間)に発表した調査結果によると(注1)、労働者の37%が経済的な緊急時の費用や借金、生活費、医療費などを賄うために退職金を頼りにしているという。
「401(k)」(企業年金)または「IRA」(個人年金制度の一種で退職後の資産形成を支援するもの)に手を付ける可能性が最も高い世代はZ世代(28%)で、次いでミレニアル世代(24%)、X世代(19%)、団塊の世代(12%)だった。
「パンデミックと経済の混乱は、労働者の雇用や財政、退職準備に大きな打撃を与えています。政府や企業からのさらなる支援がなければ、多くの労働者が回復することは非常に困難になるだろう」とTCRSのCEO(最高経営責任者)兼所長であるキャサリン・コリンソン氏は述べた。
非営利団体の従業員福利厚生研究所(EBRI)とGreenwald Researchが2023年4月に発表した報告書によると(注2)、「退職に向けて十分な貯蓄がある」と回答した労働者の割合は64%で、大不況下の2008年以来最も少ないことが明らかになった。2022年は73%だった。すでに退職した人は73%が同様の回答をしており、2022年の77%から減少した。
労働者たちは、その流れが変わるとは期待していない。TCRSの調査結果によると、41%が「将来の世代はすでに退職している世代よりも苦労するだろう」と回答した。
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