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調査リポート

今やITパスポートより人気の“あの資格” IT資格取得意向を調査IT資格の取得状況(2023年)/後編

取得希望者が多いIT資格は何だろうか。読者調査結果を基に実態を探る。IT資格取得に向けた勉強時間や勉強方法、支援制度の現状についても紹介する。

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 本調査企画の前編ではIT資格の取得状況や活用シーンなどを紹介した。後編では引き続き「IT資格の取得に関するアンケート」(実施期間:2023年11月22日〜12月5日、回答件数:442件)を基に、今後取得したいIT資格や資格取得に向けた勉強時間、勉強方法、勤務先における資格取得支援制度の有無について実態を探る。

“今後取得したい”IT資格ランキング ITパス、基本情報を超えて1位だったのは?

 はじめに、今後IT資格を取得する予定の有無を聞いたところ「ある」が55.2%と過半数で、根強いIT資格取得ニーズを確認できた。では、取得希望者が多いIT資格は何だろうか。業種別にまとめたのが以下の図だ。


図1 今後取得したいIT資格(業種別、取得希望者数上位のみ)

 「AWS認定各種」(19.3%)、「情報セキュリティマネジメント」(16.4%)、「ITパスポート」(14.8%)が上位に続き、全体ではクラウド系資格やセキュリティ系資格、次点でIT全般の基礎知識を習得する試験に人気が集まった。

 業種別では、IT製品関連業において「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」の認定各種をはじめとしたクラウド系資格の取得希望者が多い。前編で触れた通り、クラウド系資格を保有することで「プロジェクトへの参画や案件獲得といった具体案件につながった」という声が多く、IT製品関連業においては業務上必要不可欠な資格となっているのだろう。

 一方、ITパスポートや「基本情報技術者」はIT関連外の業種で取得希望者が多く、業界や職種問わずITの基礎スキルの習得ニーズが高いようだ。

 「今後人気が高まるであろう資格」をフリーコメントで聞いたところ、「情報処理安全確保支援士」(登録セキスペ)や「情報セキュリティマネジメント」といったセキュリティ関連資格やIT監査、法律関連の知識習得を挙げる声が多かった。理由としては「サイバー攻撃による事故や不正(ログイン)が多発している」や「犯罪が絡み、企業継続や損失に与える影響が大きいから」「生成AIの使用によりセキュリティが重視される場面が増えそう。法律関連の業務で生成AIの活用が進みそうだから」「情報社会のさらなる発展に伴い、情報セキュリティへの意識はますます高まると予想されるため」など、技術の進歩や働き方の変化に伴って増加するセキュリティリスクを危惧する声が目立った。

 また、フリーコメントではML(機械学習)を含むAI(人工知能)関連資格への関心も高かったが、今後取得したい資格としては「G検定」(5.3%)、「E資格」(2.0%)、「Python 3 エンジニア認定試験各種」(5.7%)と軒並み低い結果となっている。生成AIをはじめとしたAIの業務活用が進む一方で、資格取得ニーズはそこまで高くないようだ。

勉強時間“3カ月以下”が過半数 IT部門は「じっくり上位資格に挑戦」の傾向あり

 次にIT資格の勉強方法について見ていこう。まず受検までの勉強時間を聞いたところ「1カ月〜3カ月」(41.8%)、「4カ月〜6カ月」(35.0%)、「1カ月未満」(9.3%)と続き、「3カ月以下」の割合は51.1%だった(図2)。ただし、上位資格の保有率及び取得予定率の高いIT部門においては「3カ月以下」が45.6%と他部門に比べて低く、難易度の高いIT資格に時間をかけて臨む人が多いようだ。


図2 IT資格取得に向けた勉強時間(部門別)

 勉強方法は「参考書を購入し独学で勉強した」(85.9%)が大多数で、次いで「通信教育やeラーニングを受講した」(21.9%)、「社内外の勉強会や学習サークルで学んだ」(9.6%)と続いた(図3)。特にクラウド関連資格ではクラウドベンダーがeラーニング教材を提供していたり、eラーニングサービスを導入する企業が増えていたりすることもあり、今後ますますオンライン学習が一般的になりそうだ。従業員規模別では、1001人を超える大企業でeラーニングや勉強会での学習割合が高い傾向にあり、大企業を中心に学習環境の整備も進んでいるようだ。


図3 IT資格取得に向けた勉強法(企業規模別)

支援制度は約半数が設置も、業界差大きく

 勤務先にIT資格取得の「支援制度がある」と回答した割合は49.3%だった(図4)。企業規模別に見ると、大企業ほど支援制度を設置する企業が多いようだ。


図4 IT資格取得支援制度の有無(企業規模別)

 業種別では、IT製品関連業で73.0%が支援制度を設ける一方で、それ以外の業種では4割程度にとどまるなど、業務への関連度合いによって温度感は大きく異なる(図5)。


図5 IT資格取得支援制度の有無(業種別)

 また、支援制度による補填対象は「試験に合格した場合、報奨金が支給される」(48.6%)や「試験に合格した場合、会社が受験料を全額負担」(41.7%)といった“合格時”に限定する企業が多く、フリーコメントでは「会社指示で資格取得させる場合は合否にかかわらず受験料を支給すべき」や「合格しないと支給されず、通信教育などに自費で対応するのがつらい」といった不満も一定数寄せられた。

 以上、後編では今後注目のIT資格や資格取得における勉強方法、企業の支援制度について調査結果を紹介した。資格保有については個人のメリットは言わずもがな、企業にとっても人材育成面で大きなメリットがある。変化の激しい現代だからこそ、今後ますます従業員のリスキリングが促進されると予測される。今後もIT資格に関わる個人と企業のトレンドを注視したい。

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