テレワーカーはオフィスワーカーより年60時間長く勤務 オフィス回帰前に知りたい実態
テレワーカーはオフィスワーカーに比べて、より多くの集中した時間を仕事に費やし、仕事の中断機会も少ない。やみくもにオフライン回帰を進めるのではなく、テレワークの効果を振り返るべきかもしれない。
テレワーカーはオフィスワーカーに比べて、より多くの集中した時間を仕事に費やし、仕事の中断機会も少ないという。また、集中力が途切れて再び集中力を取り戻すのにかかる時間も短く、オフィスワーカーと比較して年間60時間の労働時間を捻出できている。
やみくもにオフライン回帰を進めるのではなく、テレワークの効果を振り返るべきかもしれない。
テレワーカーはオフィスワーカーより多く働き、深く集中している
Hubstaffが2024年1月16日(現地時間)に発表したレポートによると(注1)、リモートチームのメンバーは、1週間のうち約60%を「集中時間」に費やしている。集中時間とは、気が散ることなく30分以上生産的な時間を過ごすことと定義され、テレワーカーでは1日平均273分、オフィスワーカーでは223分であった。
HubstaffのCEO(最高経営責任者)であるジャレッド・ブラウン氏は、「調査データは、テレワークをめぐる誤解を覆し、テレワークが深く集中した仕事をサポートし、貴重な時間とリソースを節約することを実証している。特に集中力を必要とする職務において、テレワークの潜在的な利点を探求することを勧める」と述べた(注2)。
全体として、テレワーカーの集中時間は毎週22.75時間であるのに対し、オフィスワーカーの集中時間は18.6時間である。また、深く集中している間の中断も18%少ない(注3)。
報告書は、集中力が途切れて再び集中力を取り戻すのには約23分かかるため、平均的なオフィスワーカーは1週間あたり6.52時間(ほぼ1日分)を中断やダウンタイムによって失っていると指摘している。一方、テレワークの場合、回復に費やす時間は1.19時間短く、年間61.88時間の労働時間を得られる。
米国政府説明責任局の報告書によると、テレワークは2020年と2021年のパンデミック時に労働者の生産性とビジネスパフォーマンスを向上させた。今後の研究としては、長期的な離職率への影響、コラボレーションの課題、オフィススペースの縮小によるコスト削減などが検討されている。
Express Employment Professionalsの調査によると採用担当者は、「オフィス回帰の議論が2024年も続いているが、テレワークは今後も続く」と回答している(注4)。人事担当者は、テレワークを維持する理由として、生産性や諸経費の削減とともに、人材の獲得と確保を挙げている。
マインドエッジ・ラーニングとHRサーティフィケーション・インスティテュートのレポートによると、それでもなお、テレワークは募集や採用、入社に課題をもたらす可能性がある(注5)。人事担当者の半数以上が、「パンデミック以前よりも採用が難しくなっている」と回答し、30%が「リモート面接は対面の面接よりも生産性が低い」と答えている。
出典:With fewer interruptions, remote workers engage in deeper work, research indicates(HR Dive)
注1:Remote Workers Engage in Deeper Work With Fewer Interruptions, Says Hubstaff Data(Hubstaff)
注2:Remote Workers Engage in Deeper Work With Fewer Interruptions, Says Hubstaff Data(PR Newswire)
注3:Remote work improved business performance during pandemic, GAO says(HR Dive)
注4:Hiring managers say pandemic-driven remote work is here to stay(HR Dive)
注5:Hiring managers say pandemic-driven remote work is here to stay
注4:Hiring managers say pandemic-driven remote work is here to stay(HR Dive)
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