TeamsでもZoomでもなく、今さら「ビデオ会議」が再注目される理由
PCを使ったWeb会議が普及した今、専用端末を利用したビデオ会議システムは過去のものと思っていたが、実はそうでもないらしい。TeamsやZoomでもなく、今さら「ビデオ会議」が注目を浴びているワケとは。
取材の帰り道、小腹がすいたのでラーメンでもと思い立った。最近煮干し系のラーメンが気になっており、以前から行ってみたいお店があったことを思い出す。
新宿ゴールデン街にある、すごい煮干しラーメン「凪」だ。午前中の取材が終わり、時間は13時を回っていた。それほど混んでいないだろうと高をくくっていたが、雨の中で45分も待つことに。途中で離脱しようとも考えたが、狭い路地に傘をさして並ばざるを得ず、列から抜け出すことができない状況に追い込まれてしまった。
そしてようやくありついた1杯がこちら。
確かに味は良かった。飲食店で30分以上並んだのは何年振りか。
TeamsとZoom祭りの裏でビデオ会議システムが再注目の謎
飲食店を訪れたのは、久しぶりの対面取材で新宿界隈に出没したがためだ。コロナ禍がはじまって数年が過ぎたが、今も取材はオンラインで開催されることが多い。今や「Microsoft Teams」(以下、Teams)や「Zoom Meeting」(以下、Zoom)は定番ツールとして欠かせない存在だ。まさか、ここまで短期間にWeb会議が一般化するとは思ってもみなかった。
それはそれで結構だが、ふと気になるのが専用端末を利用したビデオ会議システムの存在だ。PCを使ったWeb会議が普及した今、もはや無用の長物と化しているのかと思いきや、実はそうでもないらしい。それどころか企業からの問い合わせが絶えず、再び注目を集めているという。「今さら」ビデオ会議システムが注目される理由は何だろうか。
世界的なパンデミックが起こる前、複数拠点をつないだ遠隔会議を可能とするビデオ会議システムには、出張費や交通費の削減といったメリットもある。筆者も多くの記事を執筆したものだが、最近はあまり目にする機会もない。すでに専用端末系のビデオ会議システムは過去のものになったと感じていた。
そんな折、久しぶりにビデオ会議システムのベンダーに話を聞く機会を得た。「ZoomなどWeb会議ベンダーに市場を取られているのが正直なところですか?」と本音をぶつけたところ、確かにビデオ会議専用の環境での利用は少なくなっているものの、顧客からの問い合わせは少なくないという。意外な答えに少し驚いた。
実際には、TeamsやZoomを会議室で使うための専用セットボックスの引き合いが多く、会議室専用のライセンスである「Microsoft Teams Rooms」や「Zoom Rooms」などで活用できる環境を提供することになる。それでもいまだに底堅いニーズがあるようだ。やはり会議室ならではの環境が大きく影響しているという。
オンライン会議を実施する際、会議室にPCを持ち込めば会議自体は実施できるが、会議室のモニターとPCをHDMIケーブルで接続したりマイクの調整をしたりといった手間はできる限り避けたい。専用端末のソリューションはこうした企業の課題をうまくカバーしているという。会議の環境自体はWeb会議に移行したものの、専用端末だからこその利便性は捨てがたいところなのだろう。端的に言えば、ITリテラシーに不安がある企業ほど、専用端末のニーズは高いと言える。
その他、会議室でのリモート会議は複数人の参加者を同時に映すためのカメラや広い会議室の声を快適に拾うためのマイクなどが必要になる。ビデオ会議システムは、カメラでの話者トラッキングやマイクでのノイズキャンセリング技術などを駆使して会議空間を快適なものにしている。かなり声が反響してしまうような会議室を使う場合でも、専用機が持つノイズキャンセリング技術によって快適な会議空間が整備できるともっぱら好評のようだ。
会議の品質については、私も納得するところが多い。これまで、オンラインでの取材時に先方が会議室に大勢集まっていて「誰がしゃべったのかがまったく分からない」と困ったことが何度もあった。そんなときこそ、話者に自動的にカメラが切り替わるようなスイッチングの機能は是が非でも欲しいところだ。
広い会議室だと声が空間に反響してしまい、発言内容が不明瞭なケースもある。集音性能が高くノイズキャンセリングがしっかり効くマイクやスピーカーに変えて欲しいと思う機会は少なくない。普段から顔見知りのメンバー同志が集まる会議であればいざ知らず、初めて取材対象と話をする場においては、「誰が何を話したのか」を正確に知る必要がある。
セッティングをせずに会議をスタートできる利便性、会議室だからこそ求められるカメラワークや音声品質を高めることで得られる快適性が、ビデオ会議システムに残された大きな存在価値であることは間違いない。
一杯1900円に戸惑う、新宿ゴールデン街の事情
それにしても、最近の物価高は目を見張るものがある。1時間弱並んでようやく券売機にたどり着き、せっかくなので特製ラーメンでもオーダーしようと値段を見たら、ラーメン1杯が1900円だという。原材料高騰のなか、手間暇かけた珠玉の一杯であることを考えると妥当なのかもしれないが、まだその価格帯に慣れていない自分がいる。結局、特製ではないオーソドックスなメニューを選択した。それでも1杯1300円だったが。
ビデオ会議システム同様、品質のいいものは、それなりの対価が必要なのだろうと無理やり納得することにする。
ちなみに、並んでいた人の多くは海外旅行者のようで、働いている方も英語が堪能な海外の方が中心だった。ネットで別店舗の値段と比べると、その価格差は倍ほどの違いがあることを知る。そうか、新宿ゴールデン街は観光客向けの店舗だったわけか……。
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