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「経営層にはなりたくない」 現代人の野心の正体

ある調査によると、経営層を目指す従業員は3割程度しか存在しないという。いったい何にモチベーションを感じて働いているのだろうか。

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HR Dive

 ある調査によると、経営層を目指す従業員は3割程度しか存在しないという。また、同僚から評価されていると感じたり、管理職から評価を受けたりすることもそれほど重要ではない。

 従業員には経営層としてリーダーシップを示すこととは異なる、“新しい野心的な感覚”が芽生えている。

“新しい野心的な感覚”の正体

 金融サービスを提供しているEmpowerが2024年2月21日(現地時間)に発表した、成人1117人を対象とした調査によると、職場における野心の性質が変化し続ける中、経営幹部になることを希望している人は、わずか10人に3人だった。最も高い関心を示したのはミレニアル世代の39%であった。

 調査では、仕事への満足度の主な要因として「お金」(67%)がトップで2位以下の「企業への忠誠心や勤続に対する報酬」(40%)、「経営層として模範を示すこと」(32%)に差を付けた。企業への忠誠心や勤続年数、仕事に対する評価、刺激的なリーダーであること、やりがいのあるプロジェクトに取り組むことよりも、高い給与から仕事への満足感を得ている。

 Empowerによれば、給与とリーダーシップのパラドックス(鶏か卵かのジレンマ)に陥っている労働者もいる。例えば、38%の人(Z世代では55%)は、現在の仕事内容を「超える」ほどの報酬は得られていないと考えている。同時に、約4分の1は「自分の能力をフルに発揮して働いていない」と答えている。しかし、23%の人(Z世代では37%)は、「何をやってもモチベーションが上がらない」としている。実際、回答者の31%が「昇進や昇給を犠牲にしてでも仕事内容を変えたくない」と答えている。

 人材サービスを提供しているRandstadのレポートによると、“新しい野心的な感覚”が生まれつつあるようだ。従業員はキャリア決定の一環として、ワークライフバランスや柔軟性、公平性、帰属意識、スキルアップを重視している。

 同じく人材サービスを提供しているRobert Halfのレポートによると、2024年は離職率は低下しているようだ。現在の安定性や柔軟性、充実感、報酬を引き換えにしてまで転職する労働者は少ないという。

 エンゲージメント戦略サービスを提供しているUnited Cultureの調査によると、多くの場合、給与の高さは引き続き労働者の充実感を高め、定着と採用の両面で大きな役割を果たしている。その後、共同作業ややりがいのある仕事をすることが充実感を最も高め、同僚から評価されていると感じたり、管理職から評価を受けたりすることは、それほど重要ではない。

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