人材開発の効果測定に役立つ3ステップ 成功の鍵は「キープレーヤーの特定」
従業員の学習と能力開発を担当するチームは、投資効果や学習効果測定の重要性を示すのに苦労している。人材開発の効果の測定に役立つ3ステップを紹介する。
ビジネス環境が変化し続ける中、企業には変化に柔軟に対応できる組織作りが求められている。その結果、従業員の能力を向上させる、人材開発(L&D)プログラムへの関心が高まっている。
しかし、従業員の能力を開発するのは簡単ではない。人材開発チームは、投資効果や学習効果測定の重要性を示すのに苦労しているようだ。本稿は、人材開発効果の測定に役立つ3ステップを解説する。
人材開発の効果測定に役立つ3ステップ
人事コンサルティングを営むMcLean & Companyが2024年2月7日(現地時間)に発表したレポートによると(注1)、L&Dチームにとって「適切な学習モデル」「測定基準」「評価」が明確でないことが、学習プログラムの価値を示す際の障壁となっている。
人事コンサルティングを営むMcLean & Companyで、学習ソリューションのプラクティスリードを務めるジャネット・クレア氏は次のように述べた。
「学習効果を測定する現在のアプローチは全く機能していない。学習の効果を測定する際は、総合的に見て効果を測定する必要がある。適切に評価するためには、学習者に与える影響から学習ソリューションが組織に与える影響まで、全ての観点を考慮する必要がある」
McLean & Companyは、L&Dリーダーが学習測定のアプローチを戦略的に設計するのに役立つ3段階のプロセスを説明している。
1.目的を確立する。
L&Dチームは、学習プログラムの効果を測定する理由を明確にする必要がある。これには、学習効果の測定が、売上増加や顧客獲得などの組織目標にどう関連するかを明らかにすることも含まれる。
2.キープレーヤーを特定する。
L&Dリーダーは、学習測定プロセスに関与する組織内のキーパーソンを特定すべきである。
3.キーパーソンの視点を統合する。
L&Dチームは、学習効果を測定するプロセスを主要な関係者の関心や関与の範囲も含めて理解すべきである。例えば、最高学習責任者は学習プログラムにおけるリソースの利用を評価するかもしれないし、マネジャーは従業員の育成に焦点を当てるかもしれない。
レポートによると、測定のためのソリューションを選択する際、L&Dリーダーは関連する人々やチームと連携し、彼らのニーズを理解すべきだという。
人材管理や組織開発に関するコンサルティングを提供するThe Josh Bersinのレポートによると、ビジネス環境が変化し続ける中、リーダーは従業員の能力開発に投資し(注2)、「ダイナミックな組織」を作る必要がある。これを受けて、ベンダーは人材の開発や管理に活用できる新しいソリューションをリリースし始めている。
一方で、ソフトウェア開発を営むD2Lのレポートによると、北米のほとんどの企業は、従業員研修プログラムの投資効果を測定するのに苦労している(注3)。調査では、「社員研修が財務的な成果に与える影響を測定している」と答えたリーダーはわずか33%で、75%は「今後の従業員研修戦略で、より良い指標を求めている」と回答した。
リーダーシップコーチングおよび人材開発に関する事業を展開するBetterManagerのレポートによると、リーダーシップ開発プログラムの場合、トレーニングやコーチングに1ドルの費用を費やすと、平均して7ドルの利益を得られるという(注4)。この利益は、収益や売上の増加、定着率の向上や採用コストの削減などから生じている。
出典:To showcase ROI, learning leaders may need to clarify L&D metrics(HR Dive)
注1:HR Must Learn How to Prove ROI for Learning & Development: New Guide From McLean & Company(PR Newswire)
注2:‘Post-industrial economy’ requires investment in employee development, report says(HR Dive)
注3:Survey: Companies struggle to measure the value of training(HR Dive)
注4:Employers see $7 ROI for every $1 spent on leadership programs, report says(HR Dive)
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