生成AIを一番恐れている世代が判明 企業が取り組むべきサポートは
多くの従業員は職場で生成AIを今以上に使いたいと考えている。その一方、近い将来自分の役割を生成AIに奪われることを懸念する人もいる。
ある学習テクノロジー企業が発表した報告書によると(注1)、従業員の約43%は「今後1年間において、生成AIについて優れたスキルを持つ他の人材に自分の仕事を奪われる可能性を懸念している」という。
生成AIに仕事を奪われると考える人の割合は、世代によって大きく異なる。果たして、どの世代が一番割合が高いのだろうか。
生成AIを最も懸念している世代とは
学習テクノロジー企業D2Lが2024年2月12日(現地時間)に発表した報告書から、世代ごとの生成AIに対する不安の度合いが分かった。
最も懸念しているのは、Z世代の従業員のようだ。Z世代の従業員の52%が「今後1年以内に仕事を奪われる」と考えている。同様の懸念を持つ従業員の割合は、ミレニアル世代の場合は45%、X世代の場合は33%だった。この結果を受けて、雇用主はどのような役割を果たすべきと考えられるだろうか。
「このデータは、雇用主の2つの役割を示唆している。1つ目は、従業員がより適切な準備をできるように支援することである。2つ目は、従業員がそれぞれの役割で有意義な貢献を続けられるという自信を持てるように支援することだ。生成AIを効率的に活用するためにも、変化を見越すためにも、変化する環境に適応するためにも、従業員のスキル向上が求められる」と、D2Lのサシャ・サッカベリー氏(バイスプレジデント)は述べた(注2)。
米国のフルタイムおよびパートタイムの従業員3000人を対象とした調査では、60%が「今後1年で、生成AIツールを仕事でより頻繁に使用したい」と回答した。また、約49%は「すでに週1回以上、仕事でAIツールを使用している」と答え、52%は「仕事以外でもAIツールを使用している」と答えた。一方で、37%は「AIツールを一度も使用したことがない」と回答した。
若い従業員ほど、将来のキャリアに備えて専門的なスキルを開発するためのコースを受講する傾向があった。Z世代の約26%、ミレニアル世代の24%が「今後12カ月間に6〜10件のコースの受講を予定している」と回答したのに対し、X世代で同様の回答をしたのは12%だった。
人材紹介企業であるRobert Halfの報告書によると、職場でのAIに対する懸念の高まりは続いているものの、従業員の自信は以前と比べて高まっている可能性がある(注3)。特に人事や技術系の専門家は、生成AIツールが彼らのスキルに対する需要を高めると考えている。
しかし、Indeedの報告書によると、キャリアの中程に位置する25〜54歳までの専門職と管理職は、生成AIによる混乱の影響を受けるリスクが高い(注4)。これらの職種に求められるスキルの多くは、AIが得意とするものだ。
人事ソフトウェアの専門家は、HR Diveに対して「AIツールは大きな利益をもたらす可能性を秘めている」と語った(注5)。例えば、予測テキストやスケジュール管理機能で人材獲得に役立つ可能性がある。また、AIは人間の偏見を考慮し、多様性とインクルージョンの実現に役立つ可能性もあるという。
出典:Gen Z workers say they are worried about AI replacing them(HR Dive)
注1:What the Use of AI Tells Us About Gaps in Workforce Skills Development(D2L)
注2:Gen Z workers are more worried about potential AI threat to their jobs than Gen X, survey reveals(PR Newswire)
注3:Worker confidence in AI may be growing despite unease about the tech(HR Dive)
注4:Mid-career professionals, managers most at risk for generative AI disruption, Indeed says(HR Dive)
注5:How HR can leverage AI at work(HR Dive)
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