キーマンズネットのレギュラーコーナー「IT担当者300人に聞きました」では、IT製品別の導入状況や、運用の課題、製品に対する満足度など、アンケートを基に読者企業の実態を紹介している。
アンケート調査では、IT製品に対するリアルな口コミや不満が寄せられることも多い。2024年3月に実施した「Web会議ツールの利用状況に関する調査」(実施期間:2024年3月13日〜24日、回答件数:300件)を基に、特に導入率の高かった「Microsoft Teams」(以下、Teams)と「Zoomミーティング」(以下、Zoom)に焦点を当て、本編では紹介できなかったユーザーの不満の声や意見、便利だと感じる機能を紹介する。
「背景ボカシ、外れてあわや大惨事……」読者から寄せられた不満
まずは、TeamsとZoomに関して回答者が便利だと感じている機能を聞いた。Teamsでは「画面共有機能」(67.4%)、「テキストチャット機能」(40.9%)、「ファイル共有機能」(40.4%)が上位に上った。Zoomミーティングでは「画面共有機能」(63.1%)、「背景設定・切り替え機能」(36.9%)、「会議用URLの発行機能」(29.2%)に票が集まった。Teamsでは「Microsoft 365」との連携性を生かした機能やZoomミーティングではWeb会議やオンラインセミナーに特化した機能に人気が集まった。
両ツールに対しては不満も寄せられた。共通して挙げられたのは次の2つの問題だ。
挙げられたのは、「運用費用が高い」「通信料が高い」といったコストの問題と、操作性および使い勝手の2つの問題だ。特に後者については、「背景の設定が難しい」「画面共有される資料が小さくて見にくい」「ホワイトボードのようにスライドを映しながらメモ共有したい」「入室の際のURLやID、パスワードの入力が面倒」といったUIに関する項目や、「外付けスピーカーやマイクがつながらないときがある」といった項目が寄せられた。
外付けスピーカーやマイクに関するトラブルの原因は、マイクやスピーカーの設定、ソフトウェアまたはハードウェアの問題など多岐にわたるため、一概にWeb会議ツールに原因があるとは言えないが、ユーザーにとっては頭の痛いトラブルのようだ。
特に、会議室においては「Web会議の度にPCを部屋のモニターやマイクなどに接続する必要があり面倒」といった声もあり、こうした作業を省力化できるビデオ会議ソリューションも人気を集めている。
ZoomミーティングとTeamsに対する共通の不満
- 運用費用が高額
- 誰が話しているか分からない
- 議事録が作成しにくい
- 社内ルールによって一部の機能に制限がかけられ、全ての機能を享受できない
- Bluetoothのヘッドセットを使用していて、バッテリー切れなどによりヘッドセットを途中で変えたくなっても、切り替えられない
- ホワイトボードのようにスライド映しながらメモを共有できない
- 外付けのスピーカーやマイクがつながらないことがある
- 背景の設定が難しい
- 人数が多くなると参加者を把握できない
- URL、IDやパスワードの入力が面倒だ
- ヘッドセットを長時間付けることがつらい
- 画面共有される資料が小さく見にくい
- 機能が多すぎて使いこなせていない
次に、読者の間で特に導入率の高かったZoomとTeamsに関する不満の声をソリューション別にピックアップした。ユーザーが多く人気製品だからこそユーザーの期待値が高く、不満も生まれやすいことが見て取れた。
まず、Zoomの有償版については「画面を任意の倍率で拡大できない」「画面共有をしても階層の深い画面が映らない」など、画面の細部を確認したい時に不便だと感じていることが分かった。プレゼンテーションや詳細なデータの共有時には、投影された内容をストレスなく理解できることが重要であるため、改善を期待したい点だ。
Zoomでは、参加者がスタンプや挙手などの合図を送るリアクション機能があるが、これについては「リアクション数を増やしてほしい」というコメントと「遊びっぽい機能はいらない」という相反する声が寄せられた。企業のコミュニケーション文化やWeb会議ツールの用途によって意見が分かれるようだ。
その他、「標準でAI議事録の機能を付けてほしい」という意見も上がった。これについては、2024年の3月に「Zoom Workplace」としてリブランドされ、全ての有償プランで生成AIによる業務アシスタント機能「Zoom AI Companion」を利用できるようになった。Zoom AI Companionは、ミーティングの内容を要約し、重要なアクションポイントなどを抽出するもので、議事録作成の支援につながる。
Zoomへの不満
<有償版>
- 画面を任意倍率で拡大できない
- 画面共有しても階層の深い画面だと映らない
- アップデートを怠っていて、PCだとリモート制御が効かない
- 標準でAI議事録が付属してほしい
- 遊びっぽい機能はいらない
- ホワイトボードの使い勝手が良くない
- リアクション数を増やして欲しい
- 起動に時間がかかる
- 会議の予約を簡単にできるようにしてほしい
<無償版>
- 時間制限がある
Teamsは、読者調査において最も導入率が高かったツールだ。不満な点としては、「Teamsでゲスト参加時、議事録作成のたねにスクリーンショットをよく撮るが、バー位置を移動できないのでいつも困っている」「ゲスト参加時、その都度背景フィルターが外れる。テレワーク時に自分の家の散らかった様子が映ってしまった」など、ゲストアカウントとして参加した際に経験した不便を訴える声があった。
特に多かったコメントが「アップデートによってUIが頻繁に変更される」というものだ。「Microsoft 365 Apps」は毎月のようにアップデートがあり、Teamsもその対象アプリの一つだ。便利な機能が高頻度で追加されるメリットがある一方で、新しいUIにやっと慣れたタイミングで画面が更新されることにストレスを感じるというユーザーも多い。
- teamsゲスト参加時、議事録作成のたねにスクリーンショットをよく撮るが、バー位置を移動できないのでいつも困っている
- ゲスト参加時、その都度背景フィルターが外れる。テレワーク時に自分の家の散らかった様子が映ってしまった
- 外部の人へのWeb会議の招待が面倒だ
- 表示画面が小さい。リモート側でアップしたい場所などコントロールできるようにしたい
- UIが変わること
- 会議のスケジュールが分かりずらい
- PCとスマホで活用しているが、スマホへの情報展開が遅れる
- マイクのノイズキャンセリング機能が弱い
- 社内の回線の影響でTeamsの反応が悪い
- 回線が不安定な場合に本人が気付かず発言して聞き取れないこと(本人に即座にアラートを出す機能がある方が良い)
- 機能やアイコンの位置が頻繁に変わるのでその都度戸惑う。マイクのON/OFFボタンが退室のアイコンと隣り合っており、間違えて退室してしまうことがある
- 画面に余分な部分が多く、資料や参加者アイコンが小さくなる
- 共有された資料が見みにくい
以上、多くのキーマンズネット読者が利用しているWeb会議ツールであるZoomとTeamsの人気機能、不満点について見てきた。ユーザーが多く人気製品だからこそユーザーの期待値が高く、不満も生まれやすいことが見て取れる。両ツールとも生成AI機能に力を入れており、今後もAIの進化に伴うアップデートが期待できる。今回寄せられた不満も、そうした機能進化によって徐々に解消されることを期待したい。
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