返品プロセスで顧客に不満を与えない「リバースロジスティクス」とは
効率的な返品プロセスは、顧客ロイヤリティーの向上に役立つ。返品プロセスを改善し、顧客満足度を長期的に育む方法を学ぼう。
返品は重要な顧客接点の一つだ。返品ポリシーが不適切な場合、顧客は企業に不満を募らせる。そういった状況を避けるためには、顧客が不要な商品を企業に返品するプロセス「リバースロジスティクス」と、その改善方法を学ぶのがよい。
本稿は、返品プロセスをスムーズに進めるための6つの戦略を紹介する。
リバースロジスティクスを改善する6つの方法
リバースロジスティクスには、顧客が商品を返送してから、作業員が返送された商品を処理し、商品を再入荷するかリサイクルするかを決定するまでの商品返品に関わる複数のステップが含まれる。リバースロジスティクスのコストは避けられないが、幾つかの戦略によってプロセスを迅速化できる。
1.企業の返品ポリシーを公表
返品方法とその際の制約を顧客に知らせることは非常に重要だ。企業は返品ポリシーを明確にし、顧客が簡単に確認できるようにしなければならない。返品ポリシーは通常、企業のWebサイトや、その商品を販売している店舗で確認できる。
返品ポリシーに加えるべき情報には以下がある。
- 返品できない商品
- 返品に特定の理由が必要かどうか
- 商品を返品できる期間
- 商品を返品する方法。顧客は商品を元のパッケージに入れて返送するよう求められるなど
- 企業が商品の交換や払い戻し、ギフトカードの提供、その他の弁済をするかどうか
また、メーカーは特定の商品に関する返品ポリシーを商品パッケージに記載することもできる。
2.返品プロセスの簡素化
企業は顧客のために、リバースロジスティクスのプロセスを可能な限り合理化すべきだ。顧客が商品を直接返品する場合は、適切な訓練を受けたスタッフが対応すべきだ。
企業が消費者やその他のオンラインチャネルに商品を直接販売している場合、オンラインの自動返品プロセスが役立つ可能性がある。これには以下のようなオプションがある。
- Webサイトにチャットbotを追加し、返品オプションを顧客に説明する
- 顧客がWebサイトのアカウントを通じて返品を手配できるようにする
- 電子メールやテキストによる通知を取り入れ、返品に関する情報を顧客に提供する
3.返品ラベルと適切な梱包
企業がオンラインで商品を販売している場合、顧客が商品を返送するために返品ラベルが必要になる。企業は返品ラベルを商品に同梱するか、返品ラベルを印刷するオプションを提供できる。また、送料が前払いされている返品ラベルを提供することで、追加料金を支払う必要がなくなり、顧客は喜ぶだろう。
多くの場合、顧客は元の箱を使って商品を返品できるが、デリケートな商品や珍しい商品には特別な梱包が必要な場合がある。企業は、返品に適した梱包材を適切なタイミングで顧客に送るべきだ。
特定の商品の返品を受け入れることで費用がかかり過ぎる場合、企業は顧客にリバースロジスティクスのプロセスを要求せずに、商品は顧客の手元に残したまま、返金だけ実施することも可能だ。
4.返品の手続きの簡素化
不要な商品を返品するため店舗で列に並んだり、商品を郵送するための持ち込み場所を探したりしなければならないと、顧客は不満を感じるだろう。
顧客の自宅や企業から商品を直接発送できるようになれば、返品プロセスが簡素化され、顧客サービスの向上につながる。
5.返品に関する追跡の提供
顧客は、返品した商品の状況について可能な限り多くの情報を欲しがるものだ。企業は、顧客が返品の状況を追跡できるよう、追跡システムを提供すべきである。商品が倉庫に到着したら、システムは返金や交換のタイミングを顧客に知らせることができる。
この段階で返品番号を付与しておくと役に立つかもしれない。
6.返品の根本原因を分析
企業は返品を可能な限り最小限に抑えるべきであり、顧客が特定の商品を返品する理由を分析することで、主要な傾向を特定し、問題の解決につなげられる。
この分析で取るべきステップは以下だ。
- 顧客から返品理由を直接収集する
- 不良品や納期遅れなど、最も多い返品カテゴリーを特定する
- 配達時間や時間通りに配達された商品の割合など、運送企業や配達の指標を追跡する
- 返品する可能性の高い顧客をセグメント化する
これらのデータによって返品理由の分析が容易になる。不良品の返品が多かった場合、企業は特定の商品ロットにおける製造不良の可能性を調べる必要があるかもしれない。
分析によって返品の原因が明らかになれば、リーダーは返品の原因となっている問題に対処できる。製造プロセスの欠陥が原因であれば、メーカーはより良い品質管理方法を導入できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ERPの導入効果を高める「プロセスマイニング」 6つの業務改善例を紹介
受注から現金化までのプロセスは企業によって異なるが、ほとんどの場合改善が必要だ。プロセスマイニングを用いてプロセスを改善する6つの方法を紹介する。「リバース・ロジスティクス」を効率化する方法とは
製品の販売に当たってはメーカーから物流拠点、販売業者、消費者まで製品を送る必要がある。これは返品時にも発生する。この「リバース・ロジスティクス」にも効率化する方法がある。「バリューチェーン」と「バリューストリーム」の違い、分かる?
企業の付加価値を評価する方法として「バリューチェーン」と「バリューストリーム」がある。似た用語だが意味も役立つ場面も異なる。