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Miroが生成AI機能を追加 「第二の創業」とまで言われる大型アップデートの内容とは

ミロ・ジャパンは2023年7月23日、記者会見でAI機能を含む「Intelligent Canvas」を発表した。「第二の創業」とまで言われる大型アップデートの内容とは。

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 ビジュアルワークスペース「Miro」を提供するミロ・ジャパンは2023年7月23日、記者会見でAI機能を含む「Intelligent Canvas」を発表した。

 ホワイトボーディングツールとして親しまれてきたMiroは、全世界でユーザーが700万人を超え、製造業を中心に人気を獲得してきた。同社では、これらのユーザーの業務を深堀する中で、「さまざまなツールに情報が分散していて作業が進まない」「職種や専門領域を超えたコラボレーションが難しい」といった課題があることに気付いたという。

 ミロ・ジャパンではこの課題を解決するために、業務のあるべき姿として「アイデアの洗い出しや絞り込み、検証という業務の全フェーズで部門横断の協同が存在すること」「キャンバスが仕事の流れの複雑さを軽減する最も重要な要素であること」「AIが全ての仕事を加速すること。その効果を得るためにはAIが仕事のプロセスに定型的に組み込まれる必要があること」という考え方を整理し、それらを50以上の新機能に落とし込んで「Intelligent Canvas」としてリブランドするという。


ミロ・ジャパン 代表取締役 向山泰貴氏

 2024年7月に代表取締役に就任した向山泰貴氏は、Intelligent Canvasについて「AIを活用しながら、部門や役割を超えたチームがアイデアの検討から成果につなげるまでのプロセスを加速するもの」で、「第二の創業と呼べるくらいの大きなアップデートを盛り込んだ」と述べた。

 ホワイトボーディングのイメージが強いMiroだが、「Intelligent Canvas」ではそのイメージからの脱却が図られている。どのような機能を利用できるのか。

生成AI機能が加わったMiroで何ができる?

 具体的に、Intelligent Canvasは、「刷新されたキャンバス」「コンポーザブルワークフロー」「AI」の3つの柱で構成される。ミロ・ジャパンのシニア ソリューションズ エンジニアである高木智範氏がそれぞれ解説した。

刷新されたキャンバス

 Intelligent Canvasでは、チームの誰もが直感的に操作でき、さまざまな情報や作業にたどり着きやすいようにUIのシンプル化に努めた。「ユーザーに、自分のための場所、ホームであると感じてもらいたい」と高木氏は話す。

 新たに加わった「モード」機能は、作業の内容に合わせて画面構成やボタン位置を最適化するもの。ユーザーがより作業に集中できるようになる。


モード機能(ミロ・ジャパンの講演資料)

 「スペース」機能は、Miroのボードや他サービスのドキュメントなど、チームメンバーが必要な情報を1カ所に集める共同作業の場として機能する。どのMiroのボードからも簡単にアクセスできる。

 その他、既存のコア技術のアップデートとしてレンダリングエンジンを刷新し、Miro全体のパフォーマンスと描画能力を向上させた。さらにキャンバス上にアプリケーションやツールを構築するための開発キット「Canvas SDK」を追加した。

コンポーザブルワークフロー

 Intelligent Canvasでは、開発キット「Canvas SDK」を使ってキャンバス上にアプリケーションやツールを構築できる。その部品となるものは「インテリジェントウィジェット」と呼ばれ、「ドット投票機能」や「投票機能」「ピープル(ボードにいるメンバーを検知し、アイコン化する)機能」「カウンター(キャンバスの数字やオブジェクトを自動集計)機能」などが第一弾として提供される。

 複数のインテリジェントウィジェットを組み合わせることで、ワークフローアプリケーションを構築したかのように動作させることも可能だ。


インテリジェントウィジェット(ミロ・ジャパンの講演資料)

 ユーザーが人物のアイコンをタスクのカードにドラッグ&ドロップすることをトリガーにして、自動的に人物にタスクが割り当てられ、タスク管理アプリに登録するプロセスを自動化できる。その他算出ロジックを組み込んだウィジェットを使って、ブレインストーミングやワークショップで出たアイデアを自動集計したり、作業計画時の工数を自動算出したりするステップをワークフローに組み込むことも可能だ。

 「ツール間を移動することで思考や作業が途切れてしまうといった悩みがよく聞かれます。コンポーザブルワークフローによって、バラバラな業務プロセスを一カ所にまとめて、より協調的に仕事を進めることで作業や意思決定を迅速化します」

 AWS(Amazon Web Services)と共同で、AWSのダイヤグラムから概算コストを自動算出するワークフローアプリケーションを構築する試みも発表された。「アーキテクトが、コストを算出しながらインフラのモデルできる」と高木氏は説明する。

 同社では、ワークフローが事前に設定された12種類の「インテリジェントテンプレート」を提供する予定だ。これには、スプリント計画やロードマップ、製品計画、プロジェクトレビューなどを支援するテンプレートが盛り込まれる。

AI

Intelligent Canvasにおいては、生成AIの機能を使いやすくするために、キャンバス上のコンテンツを選択すると、それに合わせたプロンプトが表示される。AIがドキュメントや議事録、画像、ダイヤグラムなどを生成する。


AIによる生成(ミロ・ジャパンの講演資料)

 「AIショートカット」として、あらかじめプロンプトを設定しておくことも可能だ。AIの活用を定型化できるので、AIになじみのない人でも簡単に使えるようになる」。

 業務を支援する「AIパートナー」の機能も追加された。AIがエージェントとして動作し、ディスカッション時にキャンバスに付箋を貼ったり、コメントを追加したりする。第一弾として、「プロダクトリーダー」「アジャイル構築」「プロダクトマーケティング」の役割を担うAIパートナーを利用できる。

 上記を含む50の新機能を搭載したIntelligent Canvasは「今後、数カ月にわたって徐々にロールアウトされる」予定だ。

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