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AI PC「不人気」のなぜ PCリプレースが活発でも伸び悩む理由CIO Dive

Windows 10のサポート終了が迫りPCのリプレースを検討している企業もあるが、その選択肢の中にAI PCは入っていないようだ。AIブームの中でAI PCの需要が伸び悩んでいるのはなぜなのか。

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 調査企業であるGartnerが2024年7月10日に発表した調査結果で(注1)、2024年第2四半期のPC出荷台数が増加していることが判明した。

PC出荷台数増 それでもAI PCが伸びない理由 

 同調査によると、世界のPC出荷台数は前年同期比で約2%増加し、3四半期連続の増加となった。特に前年同期比で3.4%増加した米国での伸びが顕著だったことが確認された。その一方で、AI PCの需要は伸び悩んでいる。

 企業のAI利用が増える中で、AIに特化したPCの出荷台数が伸びないのはなぜなのか。

 Gartnerは、AI PCを「ニューラルプロセッシング・ユニットチップを搭載したワークステーション」と定義している。

 Gartnerの北川 美佳子氏(ディレクターアナリスト)は、AIに最適化されたPCは購買行動を促進していないとみている。北川氏はレポートの中で「AI PCの需要は伸び悩んでいる。これはAI PCがまだ初期導入段階にあり、所有するメリットがほとんどの購入者にとって明確になっていないためだ」と述べている。

 2020年にテレワーク移行に当たって購入されたPCがリプレース時期を迎えることから、企業は2024年から更新サイクルに入る予定だ(注2)。「Windows 10」のサポート終了(EOS)が2025年10月に迫る中で(注3)、この取り組みは急務となっている。

 「企業は、サポートが切れる前にノートPCやデスクトップPCを買い替えたいと考えている。2024年の終わりから2025年の初めにかけて需要が増加するとみている」(北川氏)

 LenovoやHP、Dellをはじめとする主要PCメーカーは、2024年の前半に、Microsoftの生成Iアシスタント「Copilot in Windows」を起動するための「Copilotキー」を追加したキーボードや、AI利用に向けて調整されたプロセッサを搭載したPCを発表した(注4)。しかし、業界を挙げたAI PCのマーケティング攻勢も、顧客企業の考えを大きく変えるには至っていない(注5)。

 「企業はAIではなく、老朽化を原因としてPCを買い換えている」(北川氏)

 Gartnerは、それでもAI PCの需要は徐々に伸び、2024年末までに出荷台数の5台に1台をAI PCが占めるようになると予想する(注6)。企業がユースケースにおける試験運用を経て、AIをワークフローに本格的に組み込むようになると、AI PCのメリットが表面化するだろう。

 「現在、AIのほとんどはクラウドで処理しているため、PCにNPUを搭載する必要はない。しかし、クラウドにかかるコストやレイテンシー(遅延性)の問題などに加え、セキュリティへの懸念によって、日常的に利用するAIツールの処理はPCに移行するだろう」(北川氏)

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