エンジニアバブルは海外でも崩壊? ITエンジニアの失業率が4年ぶりの高水準
2022年以降の不景気によって「エンジニアバブルが崩壊した」との声もある。米国でも同様で失業率は2020年8月以来の高水準だ。米国のITエンジニア事情はいったいどうなっているのだろうか。
ITエンジニアは需要が供給を大幅に上回り、結果としてエンジニアの給与や待遇が上昇する傾向にあった。しかし、2022年以降の不景気によって「エンジニアバブルが崩壊した」との声もある。
米国も同様で、IT専門職の失業率は2020年8月の4.6%以来の高水準だ。米国のITエンジニア事情はいったいどうなっているのだろうか。
ITエンジニアの需要が低迷した理由
コンピュータ技術産業協会(CompTIA)が2024年7月5日(現地時間)に発表した米国労働統計局のデータによると(注1)、同年6月のIT専門職の失業率は3.7%に達し、同年5月の2.5%から上昇した。この数値は2020年8月の4.6%以来の高水準だ。
ITエンジニアの労働市場における他の主要指標もITエンジニアの需要低迷の兆候を示している。経済全体において、ITエンジニアのポジションは2万2000件減少し、求人件数は2024年5月と比べて若干減少した。
対照的に、CompTIAによると技術系企業は2024年5月に新規雇用を7540人純増させ、2024年に入ってから最大の増加幅を記録した。2024年6月の全国における失業率と技術者の失業率の差は半ポイント以下であった。これらの差は過去4年間、徐々に縮まっている。
CompTIAのティム・ハーバート氏(チーフリサーチオフィサー)によると、AIの急速な普及などのさまざまな要因が重なり、一部の雇用主は技術者の採用計画を遅らせているという。ハーバート氏はプレスリリースで「最近のデータは、技術者の雇用を減らす圧力がかかっていることを示している」と述べた。
同様の出来事は2024年2月にもあり、その時はIT部門の失業率が3.5%に上昇した(注2)。当時CompTIAは、年初にテクノロジー業界で数万人の解雇が発生したことから、雇用データの報告遅延が一因であると指摘した。
IndeedのHiring Labで北米の経済調査を担当するディレクターを務めるニック・バンカー氏によると、2024年6月の雇用者数の増加は、雇用市場全体が明らかに冷え込んでいる中で発生した。
2024年6月の雇用者数の急上昇の要因として、バンカー氏は電子メールで「最も可能性が高いのは、ITエンジニアに対する需要の低迷だ。職を失った技術系の人材は、新しい仕事を見つけるのに苦労している」と述べた。
バンカー氏によると、Indeedに掲載されたソフトウェア開発職の求人情報は、パンデミック前に比べて30%以上減少している。
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