延命か移行か、「WSUS」終了後はどうする? 調査から読み解く今後の対応:勤務先の対応方針を聞いた
Microsoftの「WSUS」終了の決定を受けて、ユーザー企業はどのように対応するのか。キーマンズネットが実施した独自調査の結果を見てみよう。
Microsoftが2024年9月に「Windows Server Update Services」(WSUS)の新規開発の終了を発表した。早急な対応が求められているわけではないが、Windowsの更新プログラムをWSUSで管理している企業は他ツールへ移行するか否か、今後の方針を検討する必要があるだろう。
WSUSの利用状況と影響範囲を探るために、キーマンズネットは読者企業を対象にアンケートを実施した(実施期間:2024年10月7日〜11月8日、有効回答件数:290件)。本稿では「WSUS終了後の対応」に焦点を当て、勤務先における対応方針について掘り下げる。
延命か移行か、「WSUS」終了後の3つの選択肢
WSUSに変わるソリューションとして、管理の効率化とセキュリティの強化を目的に、Microsoftは同社のクラウドベースの更新管理ツールへの移行を推奨している。クライアントデバイスの更新管理では「Windows Autopatch」や「Microsoft Intune」を、サーバの更新管理では「Azure Update Manager」への移行を挙げている。
MicrosoftはWSUS廃止の理由の一つとしてクラウドツールの優位性を挙げている。柔軟でスケーラブルな更新管理が可能になり、社内外にエンドポイントが散らばっている場合でも対応しやすいと主張する。
もちろんMicrosoftが推奨するサービス以外にもサードパーティーのIT資産管理ツールなど、代替手段は幾つかある。ユーザー企業はどのような対応を検討しているのだろうか。勤務先における今後の対応方針を尋ねたところ、回答は大きく3つに分かれた。
最も回答が集まったのは「導入済みのWSUSを使い続ける」で28.8%だ(図1)。Microsoftは終了を宣告したものの、終了時期や今後の方針に関するアナウンスメントが発信されていないため、すぐに判断するのではなくWSUSを使い続けて様子を見るという考えなのだろう。
その次に高い割合を示したのが、「Microsoft推奨のクラウドサービスへの移行を検討、予定」で25.4%だ。前回の結果で利用する企業が多かった「SKYSEA Client View」など、「IT試案管理ツールや外部サービスで対応」としたのは11,4%にとどまった。
以上の結果を従業員規模別で見ると、501〜1000人ではWSUSを使い続けるという回答が40.7%と最も高く、5001人以上では14.9%と最も低い。逆に5001人以上ではMicrosoft推奨のクラウドサービスが46.8%と突出しており、100人以下では8.7%と低い割合を示した。
具体的にどうする? 勤務先のリアルな対応方針
先の項目で尋ねた対応方針について、検討、予定している対応内容を具体的に聞いた。「Windows 10」のサービス終了(EOS)と組み合わせて対応する、またはこれを機に後進管理環境をクラウドへ移行したいなどの回答が寄せられた。
Windows 11と組み合わせて対応
・「Windows11」の導入に合わせて(WSUS終了後の対応を)検討する予定
・(Windows 11への移行のために)PCリプレースに合わせて、Intuneへ移行予定
Windows Server 2025と組み合わせて対応
・「Windows Server 2025」ではひとまずWSUSの運用を続け、その間にMicrosoft推奨のサービスとIT資産管理ツールでの管理を検討する
・とりあえずWindows Server 2025を導入してWSUSを延命するか検討
WSUSを延命+クラウド移行
・しばらくWSUSを運用し、全端末にIntune導入を進め、Intuneでの管理に移行する
その他
・オンプレミス環境で構築可能な、WSUSの後継製品の提供を待つ
・なるべく月額費用をかけずにWindows Updateできる環境にしたい
・OS更新用機器アプライアンスなどの検討
・(従業員の)個別管理に任せる
・オンプレミスサーバのリプレースが迫っているが、次もオンプレミスサーバで管理するのか別の手段に移行するかを悩んでいる
・WSUSでの管理外PCもあり、すぐに決定できない
・2025年に現行のオンプレミス環境のまま新機器に移行するので、2030年頃までは現行のままとし、その後はその時点で判断する見込み
次回はWSUSの終了で勤務先にどのような課題が生じるのか、ユーザーの困りごとについて調査結果を報告する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- EOS後もWindows 10を「使い続ける勢」の言い分 中小企業はなぜWin 11への移行をためらうのか?
ノークリサーチの調査によると、Windows 10のサービス終了時点では回答者のうち過半数がWindows 10を使い続ける見込みだ。何が中小企業のWindows 11への移行を阻むのか。 - Microsoftが終了を告げた「WSUS」 影響を受けるユーザーはどのくらい?【緊急調査】
Windows管理をクラウドに移行する目的で、MicrosoftはOS更新管理を担う「WSUS」の提供を廃止する予定だ。この発表は、管理ツールのクラウドシフトを促進させる契機となるだろう。 - WSUSからIntune、Autopatchへ Windows更新管理の最前線
多くのIT管理者を悩ませるWindowsの更新管理。WSUSを利用する企業も多いが、Microsoft IntuneやWindows Autopatchを使うと、より安心かつ効率的に運用できるようだ。