これさえ守れば大丈夫? 説得力のあるCIOになれる「3つのルール」
優れたCIOは、ITやビジネスに精通し、説得力あるリーダーシップで同僚を鼓舞し、ステークホルダーからの支持を得られる人物だ。CIOの発言に説得力を与えるための3つのルールを紹介する。
優れたCIO(最高情報責任者)とは、ITやビジネスに精通するだけでなく、説得力あるリーダーシップで同僚を鼓舞し、変化の激しいデジタル環境でステークホルダーからの支持を得られる人物だ。
多くのCIOは、IT投資を増やすためにCFO(最高財務責任者)を説得したり、優秀な人材をチームに迎え入れたり、組織の文化を変えたりするために努力してきた。技術が目覚ましい進歩を遂げる中で、CIOが説得力を発揮することはますます重要になっている。
それにもかかわらず、Gartnerの調査では、リソース確保やアイデアの支持獲得においてCIOが最も影響力を持つと考える経営陣はわずか7%にとどまるという結果が出ている。
CIOの発言に説得力を与える3つのルール
説得力を高め、同僚に影響を与えるために、CIOは次の3つのルールに従うのがよいだろう。
ルール1.主張、目的、専門用語の数を減らす
意思決定に関わる議論の準備をする際、一部のリーダーは自らの主張を記載したリストを作成する。このアプローチの根底にあるのは、多くの場合、さまざまな異議に対する準備を整え、聴衆をプラスの情報で圧倒したいという願望だ。しかし、研究によると、数を展開するほど主張が弱まる可能性がある。これは「希釈効果」と呼ばれている。
なぜ主張の数が多いと説得力がなくなるのだろうか。それは、人は議論の隙間を見つける傾向を持つためだ。
例えば、新しいERPへの投資について、CIOがステークホルダーを説得しようとする。CIOはそれがビジネスパフォーマンスを向上させ、より持続可能な体制を構築し、コストを削減し、生産性を向上させると主張するだろう。これらは素晴らしい主張だが、仮に同僚がそのうちの一つに同意しなければ提案が拒否されることになり、その結果、他の主張の強みが薄れることになる。
可能性のある全ての論点で優位に立とうとするよりも、幾つかの意見の相違に対する準備に集中した方が効果的だ。
1つないし2つの強力な主張が確立されたら、CIOはステークホルダーが何を必要としているかを決定すべきだ。目標が多過ぎると、どんな聴衆も圧倒されて、あなたの主張を支持する可能性が低くなる。その結果、徴収はCIOに対して目標を絞ったり、より多くの時間や予算を求めたり、サポートの提供を依頼したりするようになる。
最後に、専門用語の使用には注意が必要だ。技術的な側面に焦点を当て過ぎると、経営陣はCIOを技術の専門家と見なすようになり、重要なビジネスリーダーとはみなさなくなる可能性がある。聴衆が好む言葉を使い、聴衆が理解しやすいように話すことを忘れないでほしい。
ルール2.聴衆の感情に訴えかけるように物語を整理する
人間はしばしば合理的な存在として描かれ、決断を下す前に選択肢を慎重に検討するとされる。論理という枠組みの中では、感情が私たちの選択を形成するという事実が見過ごされがちだ。
感情は私たちの判断に大きな影響を与え、私たちが完全には理解していない方法で私たちの好みを形作り、行動を導く。
説得のためにCIOは聴衆に共感する必要がある。CIOは次のような問いを忘れてはならない。
- 聴衆の職業的背景はどのようなものか
- 聴衆がコミットメントする対象や、それらの優先順位はどうなっているのか
- 聴衆はどのように意思決定するのか
- トピックに対する聴衆の感情はどうなっているのか
次にCIOは、物語の結果に聴衆がどのような感情を求めているかを特定しなければならない。ステークホルダーの感情を理解し戦略的に訴えかけることで意思決定に大きな影響を与え、職場環境においてより強固な関係を育むことができる。
例えば、幸福感を使って聴衆をリラックスさせ、主張を受け入れやすくできる。悲しみを使って聴衆に人間らしさを感じさせ、他者やその経験とのつながりを持たせられる。
感情を使って説得する最良の方法は、それらを物語に取り入れることだ。感情を引き出すストーリーテリングを、捉えどころのない芸術のようなものだと感じるCIOもいるかもしれない。しかし、ストーリーテリングは想像以上に科学的で、再現性を持ったものだ。
全ての素晴らしい物語には幾つかの重要な要素がある。
- 従業員や顧客などの登場人物は常に動機を有している
- 聴衆は特定の舞台に連れ出される。聴衆はどこにいるのだろうか。舞台はどのように見え、どのように感じられるものだろうか
- 刺激的な出来事が起こり、登場人物にとっての試練や機会となる
- 出来事がどのように解決され、その過程で登場人物がどのように変わったかを示して物語は完結する
どのような決定の中心にもデータではなく感情がある。そのため、今後CIOが自分の物語を共有する際には、聴衆に何かを感じさせるよう努めるべきだ。それによって主張は間違いなくより記憶に残るものとなるだろう。
ルール3.聴衆にデータを解釈させない
データは情報提供の役割を果たすが、行動変容を促すには不十分なことが多い。もしデータだけで十分であれば、誰もが1日1万歩を歩き、ブロッコリーをもっと食べているはずだ。
データを使うことが間違いだというわけではない。それは補助的な要素であり、議論やストーリーテリングを効果的にするための手段として活用できる。
説得の技術において、データそのものが語ることはない。人間の脳は、知識と経験を基に、見たり聞いたりした情報のギャップを予測して補完することを好む。
聴衆のデータ理解は、CIOのような専門家とは異なる。だからこそ、聴衆がデータを正しく解釈できるよう工夫することが重要だ。
例えば、グラフに「市場動向」とだけ書くのではなく、「市場リーダーはAIに投資している」と明示すれば、CIOの主張をより分かりやすく伝えることができる。
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