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文系記者がAI資格「G検定」に合格できたワケ ChatGPTを使った試験勉強レポ編集部コラム

生成AI大ブーム中の今、AI系の資格が増えています。筆者は今回「G検定」を受験し、無事合格しましたので、どんな勉強をしたのか紹介していきます。試験勉強にはChatGPTを使いました。

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 生成AI大ブーム中の今、AI系の資格が増えています。筆者は今回「G検定」を受験し、無事合格しました。どんな勉強をしたのか紹介していきます。

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G検定とは

 G検定は日本ディープラーニング協会が実施する検定試験です。AIの歴史や技術、法律、統計などの知識を測るもので、G検定(ジェネラリスト検定)という名前の通り、技術の詳細や実装レベルに必要な知識技能までは必要ありません。今回は約4600人が受験し、4人に3人くらいの割合で合格しています。累計合格者数は約10万人です。

 試験としては4択問題を1時間に160〜190問ほど解くのが大変なだけで、問題の難易度はそこまで高くありません。筆者の印象では、合格するかどうかよりも試験勉強を通してAIの勉強をすることが圧倒的に大事だと思いました。

 では、試験の出題範囲と筆者の勉強法を見ていきましょう。

G検定対策ではどんな知識が必要? ChatGPTを"家庭教師"にした学習法

 出題分野は「人工知能とは」「機械学習の概要」「ディープラーニングの概要」「ディープラーニングの要素技術」「ディープラーニングの応用例」「AIの社会実装に向けて」「AIに必要な数理・統計知識」「法律と契約、倫理、ガバナンス」の8つです。

 序盤では例えば「人工知能という言葉が初めて公的に使われたのはダートマス会議である」「人工知能は文字情報などの符号と実物を結び付けて考えているわけではないという問題をシンボルグラウンディング問題という」といった知識の確認があります。

 中盤ではCNN(convolutional neural network)やRNN(Recurrent Neural Network)といったニューラルネットワークの構造や、GPTモデルのベースになったTransformerの仕組み、機械学習の具体的な手法などが聞かれます。強化学習やクラスタリングの手法、損失関数の使い分けなども勉強します。

 終盤では「著作権法第30条の4」や特許法、AI開発の進め方、AI倫理について聞かれます。ここは社会人として健全に働いていれば知っていることも多いので、特別な勉強をしなくても常識的に考えれば正解できるという問題も多いですね。

学習スケジュール(短め)

 今回の勉強期間は当日を含めて6日間でした。スケジュールは1日目がテキストの読み込み前半、2日目が模擬問題チャレンジ前半、3日目がテキストの読み込み後半、4日目が模擬問題チャレンジ後半、5日目が不安箇所の確認と模擬試験での時間確認です。

 さすがにアイティメディアに入社してからAIに関する記事はたくさん書いていますから、知っている内容が多いのはアドバンテージでした。思ってみれば、入社して初めて書いたのがGAN(Generative Adversarial Networks)の解説記事でした。

 使ったテキストは「深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト検定)公式テキスト 第3版」と問題集「徹底攻略ディープラーニングG検定ジェネラリスト問題集 第3版 徹底攻略シリーズ」です。おそらく定番の2冊ですね。

 もう一つ重要だったのがChatGPTですね。今回筆者は家庭教師としてChatGPTを活用しました。

ChatGPTと学ぶChatGPT

 情報を覚えるだけであればテキストで十分ですし、問題を解くゲームも問題集だけで対策できますが、筆者は理解していないものを覚えるのが苦手なので、ちゃんと勉強しました。

 ただ、テキストを読むだけでは頭に浮かぶ疑問を解消できません。何回同じことを聞いても、どんなに意味の分からない質問をしても怒らない、それでいて必要な知識を網羅している人に質問できればいいのに……。

 それがChatGPTです。以下に実際に質問した内容を示します。

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特徴量について。この他にも「学習率」が率に見えない、「ImageNet」がNNじゃないのが納得いかないなどについても雑談した
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SVMについて。テキストを読んでも全く分からなかったときの聞き方
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k-means法について。理解していなくても試験問題は解ける
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CNNについて。畳み込みがデータを圧縮する操作に見えたという疑問について聞いた
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VAEについて。完全には正しくない

 この学習方法ではハルシネーションが大いに問題になります。間違ったことを教えられては間違った理解になってしまいますから。それを抑えるために、ChatGPTの検索機能を使いました。

 これはインターネット上の情報を基に回答を構築する機能で、ソースも示せます。そうなれば検索しながら勉強しているのとほぼ変わりませんから、あとは自分がこれまで学んできたことと照らし合わせて何を信じるか考え、ソースの信用度を総合的に判断して何が正しいかを推定するしかありません。

G検定って意味ある?

 G検定に合格して、というよりは勉強してよかったことは、ソニーのノーコードAI開発ツール「Neural Network Console」(NNC)が分かるようになったことです。このツールは「畳み込み層」「ReLU」といった名前のブロックを組み合わせることでニューラルネットワークを作れるものなのですが、以前の筆者はこのブロックの意味や役割を知りませんでした。

 AIを作ってみたい気持ちもあってNNCをダウンロードしたはいいものの、結局挫折しました。今では全てのブロックの役割が分かります。どう組み立てればいいのかも分かります。今後はこれを使って簡単なAI作りにチャレンジしたいと思います。

 余談ですが、NNCのYouTubeチャンネル「Neural Network Console」はニューラルネットワークを学ぶのに非常にいいコンテンツを公開しているのでおススメです。

 冒頭で「合格するかどうかよりも試験勉強を通してAIの勉強をすることが圧倒的に大事だと思いました」と書きました。世界で初めて人工知能という言葉が公的に使われたのが「ダートマス会議なのかアートマス会議なのか」は別に重要ではありません。G検定の問題は正直「それを聞く意味はあるのか?」と思うものもあります。4つある選択肢が、よく混同されるが確実に違いを理解している必要があるもので構成されているならいいのですが、分野すら違う言葉が混ざっていることもあります(おそらく難易度調整のための問題なのでしょう)。それを答えられればAIに関する知識があるといえるのでしょうか。

 ただ、受験勉強の過程では確実に自分の理解を深められました。もちろん合格できる方がいいのですが、重要なのは試験結果よりも受験勉強です。

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