パナソニックの事業会社、月間180時間の集計作業を0時間に データ分析で顧客の声をFAQに反映
パナソニックがデータ活用プラットフォーム「Domo」で、顧客の声を分析し、顧客満足度の高いFAQの作成や製品企画に活用する体制を整えた。
ドーモは2025年7月1日、パナソニックの社内分社であるくらしアプライアンス社(以下、くらしアプライアンス)がデータ活用プラットフォーム「Domo」を導入したと発表した。
くらしアプライアンスでは2017年、サポート業務のデジタル化が急速に進む中で、Webサポート体制の強化が急務とされていた。外部調査機関が実施したサポートランキングで順位が低下したこともあり、カスタマー・エクスペリエンス(CX)事業開発室において顧客視点に立ったサポート体制の再構築に取り組んだ。その中心的な役割を担ったのが、Domoの導入だ。
180時間かかっていた月次報告の集計作業を0に
CX事業開発室は顧客の声や検索クエリ、アクセス数などのデータをDomoに集約して顧客が知りたい情報を分析し、FAQの充実に取り組んだ。担当者自身が分析を行えるようになったことで、従来はIT部門への依頼が必要だったデータの整理作業が省力化され、FAQ改善のスピードが大きく向上した。月次報告にかかっていた180時間の集計作業は不要となり、日次単位で状況を把握できる体制が整った。
FAQへの訪問数は、電話による相談件数の約30倍に達しており、利用者自身が課題を解決できる環境が満足度の向上に寄与している。NPS(ネットプロモータースコア)調査でも、FAQやチャットbotの体験が商品評価に良い影響を与えていることが示された。
2022年からは、Domoに構築したSNS分析ダッシュボードを活用し、SNSや検索キーワードから得た定性情報と販売データなどの定量情報を組み合わせた商品開発に役立てている。商品企画やマーケティング部門ではこれらのデータを基に顧客ニーズの抽出や課題の絞り込みを行っている。
実際の活用事例として、2025年4月発売のコーヒーメーカーがある。SNS上で寄せられた「コンパクトなサイズ感が欲しい」との声を基に、当初の設計を見直し、より小型で省スペースな仕様へ変更。「すっきり置けるコンパクトなサイズ感」として訴求され、ヒット商品となった。こうした一連の取り組みが評価され、くらしアプライアンスはトライベックが実施する「デジタルサポート評価指数ランキング2024」において、家電分野で1位を獲得した。
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