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データ分析でExcelとうまく付き合うためのBI活用術と使い分けのポイントデータ活用あるあるから学ぶ問題解消法

データ活用は社内に眠るデータを価値ある資産に転換する活動だ。しかし実現に向けてはさまざまな課題が降りかかる。本連載ではクラウド型データ活用プラットフォーム「Domo」を提供するドーモに、企業の“データ活用あるある”とその解決策を聞く。

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 データ活用は社内に眠るデータを価値ある資産に転換する活動だ。しかし、そのプロセスには多くの課題がある。本連載ではクラウド型データ活用プラットフォーム「Domo」を提供するドーモに、企業の“データ活用あるある”とその解決策を聞く。

BIは導入済みなのに みんなExcelを使っている

お悩み BIツールは導入しており、データ分析できる基盤はあるのに、なぜかほとんどの人が「Excel」を使っています。

 キーマンズネットが実施した「データ活用の現状とBIツールの利用状況に関するアンケート(実施期間:2024年8月1日〜16日、回答件数:185件)」の結果を見ても、Excelをデータ分析に活用している割合が特に高いことが示された。BIツールを導入済みの企業に「データをどのようなツールで可視化しているか」(複数回答可)と尋ねたところ、導入率が最も高い「Power BI」が51.5%だったのに対し、Excelは87.9%だった。なぜBIツールを使えるにかかわらずExcelを選ぶ人が多いのか。ドーモの松本裕幸氏(テクニカルソリューションマネージャー)が、企業が持ちがちな"たくさんの悩み"に答える。

回答者 松本裕幸氏

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ドーモ株式会社 テクニカルソリューションマネージャー。

2017年Domo入社。Domo導入後のお客さまへ技術的な観点からの情報提供や固有の事象に対応した支援をしている。Domoで課題を解決できた後のお客さまの「Domoありがとう」の一言が励みになっている。

Excelはダメではない

 目的に沿って作られたBIツールのダッシュボードは、KPIの達成度や部署ごとの状況をスムーズに把握するのに役立つ。ただし、目的外の用途、例えば、特定の顧客向けに個別の資料を作成したい場合は、わざわざBIツールで表やグラフをコツコツ作るよりも、必要なデータを抽出し、Excelを使って可視化するケースが多い印象です。

 BIツールとExcelは使い分けです。一度限りであれば、それでも問題ないでしょう。ただ、毎週・毎月といった定期的なデータ可視化作業を手作業で行うのは負担が大きく、こうした定型業務にはBIツールを使う方がいいでしょう。

Excelは“社会人の素養”という強い立場

 たとえBIツールの使用率が徐々に低下していたとしても、それによってBIツールを使った方が効率的になるはずの定型業務がなくなるわけではありません。今やExcelは、鉛筆や定規のように、ビジネスパーソンであれば誰もが使える基本的なツールとなっています。そのため、そうした定型業務をBIツール以外の手段で行うとなると、おそらくExcelが選ばれることになるでしょう。

 BIツールは特有の操作や使い方を習得する必要があり、その点が導入や活用のハードルとなっています。社内にBIツールに詳しい人がいれば、その人を中心に、これまでExcelを使っていた定型業務をBIツールで効率化することが可能です。そういう人材がいなくなると、途端に誰に聞いていいのか分からなくなり「やりたいことがあってもできない」「データがおかしいけど何でおかしいのか分からない」といった状態になります。

 いわゆる「データの民主化」を実現するには、ツールの導入と併せて教育も進める必要があります。そうしなければ、せっかく効率的なツールがあっても、結局はExcelに戻ってしまうでしょう。データアナリストから現場の担当者まで、誰もがBIツールをExcelと同じくらい自在に使いこなせるレベルに底上げできれば、Excelに戻ることはないでしょう。

教育がうまくいく企業いかない企業

 組織全体としてコミットし、経営層や各部門の責任者など意思決定層が「現場でデータを活用して業務を効率化し、人的リソースを本来注力すべき業務に振り向ける」と明確に打ち出して全社に呼びかけるような企業では、定期的な教育が行われ、BIツールの活用も着実に根付く傾向があります。

 特定の小さな部署内に取り組みが閉じてしまうと、担当者が異動や退職で抜けた際にノウハウが失われてしまう恐れがあります。そのため、技術や知見を組織全体で共有・定着させるという意識が不可欠です。

 とある企業の事例では、営業と営業支援のようなセールス関係の部門でBIツールを使っています。CRM(顧客関係管理)を導入しているためデータは蓄積されていますが、営業状況を多角的に分析するためにBIツールと連携させています。同社はデータ活用を組織全体でやるようにしていて、定期的にドーモが相談会に出席して質問に答えています。これにより、定型的な業務をExcelで行うだけの状態を防げているのではないかと考えています。

 別の企業では、DX部門が社内の課題を自力で解決できるようにするため、一定期間ドーモが想定質問と回答を考えるなど伴走しながら、半年ほど勉強会を継続的に実施し、最終的に自走できるようになった事例もあります。

 KPI設計にも工夫の余地があります。さまざまなベンダーが提供するツールやプラットフォームのスキルを問う認定試験があり、これを「一定期間内に○○人が認定試験に合格する」といった形でKPIに組み込む企業もあります。

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