「OneDrive」に加わった新設定、Copilotを積極活用する企業は少し注意?
Microsoft 365の最新アップデートでOneDrive for Businessの機能が強化され、ドキュメント管理の効率が向上した。一方で、運用に当たっては一部注意すべき点もある。
2025年9月に実施された「Microsoft 365」の最新アップデートでは、ドキュメント管理やコラボレーション機能の利便性が向上し、「Microsoft 365 Copilot」との自然な対話を可能にする音声機能の強化も進んだ。本稿では、日常業務との関わりが特に深い「OneDrive for Business」とMicrosoft 365 Copilotに焦点を当て、その主なアップデート内容を解説する。
本稿は内田洋行主催のウェビナー「聞きたい!知りたい!おさえたい!今月のMicrosoft 365アップデート」における太田浩史氏の講演内容を編集部が再構成した。
OneDriveの新設定、生成AI活用企業が注意すべきポイントとは?
Microsoft 365の最新アップデートでは、OneDrive for BusinessにおけるPDFファイルの閲覧設定が強化され、Microsoft 365 Copilotとの対話をよりスムーズにする新たな音声対応など、日々の業務に直結する改善が数多く盛り込まれた。業務効率を高めるこれらの機能はAIとの連携にも大きく関わるものだが、一部の設定について、特に生成AIの活用を全社的に進めている組織においては、慎重な運用が必要となるだろう。
OneDrive for Business(1): ファイル単位で細かな制御が可能に
PDFファイルの閲覧時にパスワード入力を求める設定や、コピーおよび印刷を禁止するアクセス許可の設定、編集時に追加のパスワードを要求する設定が可能となった。ただし、パスワードが設定されたファイルはMicrosoft 365のファイル内全文検索の対象外となるため、企業によっては運用ポリシーを見直す必要があるだろう。
OneDrive for Business(2): PDFの目次表示に対応:長文資料もスピーディーに
目次が設定されたPDFファイルでは、Webブラウザでの閲覧時に目次機能が利用可能となり、各項目をクリックするだけで該当ページへスムーズに遷移できるようになった。大量のページを含む資料やマニュアル、報告書などでも、目的の情報へスピーディーにアクセスできる。
OneDrive for Business(3): PDFファイルの結合や抽出
複数のPDFファイルの結合や、特定ページの抽出による新規ファイルの作成がWebブラウザで可能になった。ページの並び替えにも対応し、大容量のPDFから必要なページだけを選んで保存することもできる。
OneDrive for Business(4): PDFファイルに透かし文字の挿入
PDFファイルに透かし文字を挿入できるようになった。社外秘情報や著作権保護を目的とした透かしの追加も、Webブラウザで操作するだけで済む。透かし文字の内容や大きさ、透明度は自由に調整できる。
Copilotが聴ける、話せるアシスタントへ 音声機能が強化
Copilot(1) ボイスチャット機能
Microsoft 365 Copilotのライセンスの有無にかかわらず利用できる「ボイスチャット」機能が追加された。自分の声でMicrosoft 365 Copilotに話しかけられるだけでなく、Copilotの応答も音声で再生され、より自然で柔軟な対話が可能となった。スマートフォン版ではMicrosoft 365 Copilotの音声応答の再生速度を0.7倍〜2倍の範囲で調整でき、会話の履歴はテキストとして保存される。
Copilot(2) ノートブックのオーディオの概要機能の日本語対応
Microsoft 365 Copilotライセンスで利用できるノートブック機能の一つである「オーディオの概要」が、日本語を含む複数言語に対応した。ノートブックに含まれるコンテンツの概要をポッドキャストのように音声で再生できる。対応言語は日本語の他、スペイン語とフランス語、ドイツ語、ポルトガル語、イタリア語、中国語だ。
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