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【2025年12月】ChatGPT、Gemini、Claudeの企業向けプランを徹底比較 “コスパ”以外の選定ポイントにも注目IT導入完全ガイド

生成AIの法人利用が拡大している。主要3社の企業向けプランの価格や機能を比較し、各サービスの選定ポイントを明らかにする。

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 生成AIブームが到来し、企業向けの製品も多くリリースされている。特に利用者が多いのは「ChatGPT」に代表される対話型AIサービスだ。これらのサービスは個人向けプランに加えて企業向けプランも用意しており、チームでの利用を想定した機能やユーザーの管理機能、セキュリティなど、企業ユースに適した機能を備えている。

 本稿では、市場を代表するOpenAIのChatGPT、Googleの「Gemini」、Anthropicの「Claude」の企業向けプランの機能や価格を比較する(2025年12月18日時点)。本稿におけるGeminiは、基本的に「Google Workspace」の生成AI機能のことを指すが、一部「Gemini Enterprise」の機能についても触れる。その場合はGemini Enterpriseの機能であることを明記する。

プラン構成は3社さまざま 選定のポイントは?

 まずそれぞれのサービスの価格を見ていこう。

  ChatGPT Gemini(Google Workspace) Claude
料金 【Business 無料版】無料、【Business】1人当たり月額25ドル(年払い)、30ドル(月払い)/【Enterprise】要問合せ 【Starter】1人当たり月額800円(年払い)、月額950円(月払い)/【Standard】1人当たり月額1600円(年払い)、月額1900円(月払い)/【Plus】1人当たり月額2500円(年払い)、月額3000円(月払い)/【Enterprise】要問合せ 【Standard】1人当たり月額25ドル(年払い)、月額30ドル(月払い)/【Premium】1人当たり月額150ドル/【Enterprise】要問合せ
最低ユーザー数 【Business】2ユーザー/【Enterprise】不明 下限なし 【Standard】5ユーザー/【Premium】5ユーザー/【Enterprise】不明

 ChatGPTは企業向けにも無料プランを用意している。入力したデータは学習利用されないため安心して利用できるが、個人向けの無料プランと同様、機能が制限されている。高性能なモデルの利用も制限されてしまうため、業務で本格的に使うなら有料プランを検討したい。

 GeminiはGoogle Workspaceの料金内で利用できるため、他サービスと比較してコストパフォーマンスに優れている。同プラン内で情報整理ツールの「NotebookLM」が使える点も魅力だ。

 Claudeの特徴は月額150ドルの「Premium」プランだ。コーディングエージェント「Claude Code」の利用上限が大幅に上がるプランとなっており、開発部門での導入に適している。

 3サービス共に年払いと月払いで料金が変わる点に注意してほしい。トレンドの移り変わりが激しい分野のため、サービスの乗り換えも視野に入れているのであれば月払いが適しているが、利用総額は膨らむ可能性がある。年払いの方が1年間の利用総額は安くなり、予算も見通しやすいが、無駄なライセンス費用が発生したり、利用サービスが固定化されてしまうというデメリットがある。

機能を徹底比較 モデル性能“だけじゃない”比較ポイント

  ChatGPT Gemini Claude
コンテキスト長 入力:40万トークン、出力:12万8000トークン(「GPT-5.2」のAPIにおける仕様) 入力:100万トークン、出力:6万4000トークン(「Gemini 3.0」のAPIにおける仕様) 入力:20万トークン(Enterpriseプランは50万トークン)、出力:6万4000トークン(「Claude Opus 4.5」のAPIにおける仕様)
Web検索 可能 可能。生成された回答のダブルチェック機能もあり 可能
Deep Research(長時間、多段階の調査機能) 可能 可能 可能
外部ツールの操作 「ChatGPT agent」でWebでの作業を自動化 Gemini Enterpriseで可能 「インテグレーション」で外部ツールを操作可能
他ツールのデータの連携 「Company knowledge」で可能 Google Workspaceの各ツールと連携可能。Gemini Enterpriseは他社ツールと連携可能 「Enterprise search」で可能
プロジェクト(ワークスペース)機能 「Projects」で可能 「Projects」で可能 「Canvas」で可能
画像生成 可能 可能 不可(画像の読み込みは可能)
動画生成 不可(「Sora」で可能) 可能 不可
管理機能 SSO、SCIMプロビジョニング(Enterpriseプランのみ)、ロールベースアクセス制御、管理者向けレポート Google Workspaceに準拠。Geminiにアクセスできるユーザーを管理可能。Gemini機能を有効にするサービスを選択可能。管理者向けレポート SSO、SCIMプロビジョニング(Enterpriseプランのみ)、ロールベースアクセス制御、管理者向けレポート
入力データの学習利用 原則利用しない。組織が明示的にオプトインした場合に利用する可能性がある 原則利用しない 原則利用しない。フィードバックを送った場合やオプトインした場合に利用する可能性がある
セキュリティ認証 SOC 2 Type 2、CSA STAR Level 1、ISO 27001/27017/27018/27701 SOC 2 Type 2、SOC 3、ISO 27001/27701/27017/27018/9001/42001。ただし「NotebookLM」や「Gemini in Chrome」などはこの限りではない SOC 2 Type 1、SOC 2 Type 2、ISO 27001:2022/42001:2023

 各社のモデルの性能は日進月歩であるためここでは細かくは触れない。有料のプランであれば各社の最先端モデル(いわゆるフロンティアモデル)を利用できるため、どのサービスを利用してもモデル性能で困るケースは少ないと思われる。一方で「モデルがどのようにサービスに落とし込まれているか」は三者三様であるため、注意が必要だ。

 Geminiは入力可能なトークン数が多く、長文を読み込ませやすい。社内の文書や論文、構造化データなど、豊富なコンテキストを基に回答させるユースケースが想定されるのであれば利用を検討したい。ちなみに、100万トークンは日本語に換算すると100万文字程度だと言われている。1冊10万字の本を10冊読み込ませられる計算だ。

 外部ツールの操作などの“エージェント”機能はChatGPTが豊富だ。ChatGPT agentがチャット内で仮想のWebブラウザを起動し、任意の操作をしてくれる。GeminiとGoogle Workspace以外のツールを連携させたい場合はGemini Enterpriseの契約を検討してほしい。

 画像生成や動画生成などを利用したい場合は、ChatGPTかGeminiかの2択になる。注意してほしい。Claudeは対話型AIサービスとしてはテキストの出力に特化しており、“Claude Codeのおまけ”という位置付けで利用しているユーザーも多いだろう。それ以外の点では他の2サービスに劣らない機能を備えている。

 表に記載した管理機能やセキュリティ認証はあくまでGeminiのものであって、NotebookLMなどGoogle Workspaceの同じプランに含まれている他のサービスは内容が異なるため注意が必要だ。導入の際は自社の要件に沿わないサービスの利用を制限するなどの対応が必要になる。

日本でも広がる導入事例

 既に各サービスの日本での導入事例が報告されている。

 「ChatGPT Enterprise」は三菱UFJ銀行MIXIで導入されており、一定の成果を生んでいるようだ。特に三菱UFJ銀行は自社サービスとChatGPTの連携を深めており、金融業界におけるAI活用のモデルケースを模索している。

 Geminiは札幌市や秋田市などの自治体や、船井総研といった企業での導入事例が公開されている。Google Workspaceのプランに含まれるため、さまざまな企業で利用が広がっていると思われる。

 ClaudeはTVer楽天などの開発組織で導入が進んでいるようだ。基本的にはClaude Codeの利用を目的に導入しており、対話型AIサービスとしての導入事例として公開されているものは少ない。Claude Codeはコーディングエージェントとして地位を築いており、一部報道ではAnthropicがOpenAIよりも早期に黒字化を達成する見込みだともされている。製品選定の担当者としては対話型AIサービスとして望まれる機能を“全部盛り”にしたChatGPTやGeminiに注目しがちだが、“選択と集中”を決断し企業ユースに特化したClaudeの動向にも目を向けたい。

IT記者が使ってみた感想

 最後に、筆者が各社サービスを利用した感想を記しておく。

 サービスとしては“最古参”であるChatGPTが最も使いやすい印象だ。筆者は調べものに生成AIを利用することが多いので、プロンプトに応じて自動でしっかりとWeb検索してくれる点が気に入っている。また、インラインで引用したURLを示してくれる点も、ハルシネーション対策として優れていると感じる。一方、モデルのアップデートでAIの口調が変わりがちな点は気になる。やけに小難しい文体や、馴れ馴れしい態度で接してきたときは困惑した。対話型AIサービス“だけ”をまず試してみたい企業におすすめだ。

 GeminiはGoogleでの検索が強みであるはずなのだが、調べものをする際の体験はChatGPTに劣ると感じる(直近のニュースを検索させたら、1年前のニュースを引用してきたこともあった)。しかし、回答内容や口調のブレは少なく、必要な情報をこちらから与えた際の回答精度はピカイチだと感じる。また、他モデルと比較して長文を書いても破綻が少ない印象だ。グループウェアやクラウドストレージも同プラン内で利用できるため、「Google ドキュメント」や「Google ドライブ」に資料を集約して、それらをAIに読み込ませたい、といったユースケースを想定しているのであれば一考の価値がある。

 Claudeは対話型AIとしての機能は絞られているが、テキストの処理しか求めないのであれば、その他の点は他サービスと遜色がない。日本を重視する姿勢を強く打ち出しているからか、出力される日本語はかなり自然な印象だ。Claude Codeを利用したい開発組織には特におすすめだ。

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